集合住宅の集中プロパンガス（集中LPガス）は、ボンベ置き場から各家庭まで「外壁沿いの配管」でガスを届ける仕組みになっている。
この“外配管”こそが、災害時に最も壊れやすいポイントの一つだ。
地震・強風・豪雨・積雪など、あらゆる災害の影響を直接受けるため、配管が1カ所でも破損すれば建物全体がガス停止になることもある。
ここでは、外配管の弱点と、住民でも確認できる安全チェックポイントを解説する。
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■① 結論：外配管は「揺れ・衝撃・劣化」に弱い
外壁に沿ってむき出しで設置されているため、次の要因で壊れやすい。
・建物の揺れ
・風や飛来物の衝撃
・サビ・腐食
・配管支持金具の緩み
・外壁のひび割れ
・通行人や荷物が当たる
配管が1本折れると「ガス全停止」につながるケースもあり、災害時には大きな生活リスク担う部分になる。
■② 地震が与えるダメージ
集中プロパンの外配管は、地震に次のように弱い。
・外壁と配管の揺れ幅が違う
・固定金具が1点のみだと大きく振られる
・古い建物は配管の“伸縮余裕”がほぼない
・地震の衝撃で減圧器や接続部が外れる
特に注意すべきなのは「建物と配管の揺れのズレ」。
ここに応力が集中して、配管の折れや亀裂に直結する。
■③ 台風・強風で起きる被害
外配管は、台風時は「風の通り道」にさらされる位置にある。
次のようなトラブルが発生しやすい。
・飛来物が配管を直撃
・看板・樋・屋根材が落下して衝突
・金具が風圧で緩む
・枝や瓦が配管を押しつぶす
配管が曲がったり亀裂が入った場合、微量でもガス漏れが起きる。
■④ 豪雨・土砂災害でのリスク
集中プロパンの外配管は、建物の低い位置に多く配置されるため、豪雨時は次の影響を受けやすい。
・泥水の侵入で固定金具が外れる
・土砂で配管が押される
・基礎周りの地盤が沈下し配管が引っ張られる
特に“建物裏側の狭い通路”は点検が遅れ、劣化が見落とされやすい。
■⑤ 外配管の劣化は“誰でも目視チェックできる”
住民でも次のポイントを確認することで、安全性を高められる。
【✓ 配管の色が変色していないか（サビ・腐食）】
【✓ 配管を固定する金具がしっかり締まっているか】
【✓ 配管が外壁から浮いていないか】
【✓ 配管が曲がっていないか】
【✓ 外壁の割れ目が配管近くにないか】
【✓ 配管周りに物が立て掛けられていないか】
危険そうな箇所があれば、管理会社かガス会社に連絡するだけでOK。
■⑥ 災害後の“ガス臭への感度”を高める
外配管の破損は、災害直後にガス漏れとして表れる。
次の兆候があれば、近づかず119番通報。
・「シューッ」という音
・ガス臭がする
・配管が斜めになっている
・金具が外れている
集中プロパンは火災につながるリスクが高いため、住民による初期対応は危険。
安全確保が最優先。
■⑦ 配管トラブルによる“ガス停止は長期化する”
外配管が破損すると、修理には次の手順が必要。
・ガス全停止→安全確認
・配管の点検
・破損部位の交換
・再度のガス漏れ検査
・再開前の「立ち会い確認」
建物全体の再開まで1〜3日以上かかることもある。
家庭側では次の準備が必須。
・カセットコンロ＋ボンベ
・非常用ランタン
・モバイルバッテリー
・飲料水・生活用水
・非常食
ガス停止を「自分でカバーできる家庭」は災害に強い。
■⑧ まとめ
・集中プロパンの外配管は災害の影響を最も受けやすい弱点
・地震・台風・豪雨で配管破損が多発
・住民でもチェック可能なポイントが多い
・異常があれば管理会社＆ガス会社へ
・ガス停止に備えた家庭内の代替手段が重要
・外配管の劣化は放置すると大事故に直結する
集中プロパンの安全性は、配管の健全性で大きく左右される。
建物全体の防災力を高めるためにも、普段から外配管を“見て気付ける住民”でいることが、もっとも効果的な防災対策になる。
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