災害時は、普段落ち着いている方でも混乱しやすくなります。特に認知症の方は、揺れ・警報・人混み・暗さ・寒さで刺激が増えるほど不安が強まり、言葉が通りにくくなります。被災地の避難生活でも、急な環境変化で混乱し、歩き出してしまう、怒りっぽくなる、泣き出す、といった場面を見ました。大切なのは正しく説明することではなく、「安心」を先に戻すことです。声かけは長いほど逆効果になりやすいので、短く、肯定し、次の一手を一つだけ渡すのが基本です。
■① 目的は「理解させる」ではなく「安心を戻して落ち着かせる」こと
混乱している時は、論理が届きません。正しい説明ほど相手の不安を増やすことがあります。被災地でも、説明が長くなるほど興奮が強まる場面を見ました。目的は理解させることではなく、安心を戻して落ち着かせることです。安心が戻れば行動が整います。
■② 最優先は「安全確保」で、移動を止めて危険から離す
混乱すると急に歩き出すことがあります。転倒や迷子が一番危険です。最初にやるのは、相手の動きを止め、危険な場所から離すことです。手を引くより、身体の横に立って進行方向を塞ぎ、静かに止めます。安全が確保できてから声かけを始めます。
■③ 声かけは「短く・肯定・ゆっくり」で、言葉を一つに絞る
混乱時は情報量が多いほど崩れます。声かけは短く、肯定し、ゆっくり。言葉は一つに絞ります。「大丈夫」「ここにいるよ」「一緒に座ろう」。短い言葉を繰り返す方が効きます。被災地でも、短い肯定が一番落ち着きを戻していました。
■④ 否定しない。正そうとしない。安心の“居場所”を先に作る
「違う」「ダメ」「今は無理」は、混乱している方には攻撃に聞こえます。正そうとすると抵抗が強まります。被災地でも、否定で興奮が増す場面を見ました。否定せず、安心の居場所を作ることが先です。座れる場所、暖かい場所、静かな場所。場所が整うと落ち着きます。
■⑤ 行動は「一つだけ」お願いする。選択肢は出さない
「どっちがいい?」は難しいです。選択肢は混乱を増やします。お願いする行動は一つだけにします。「ここに座ろう」「この水を飲もう」「この毛布をかけよう」。一つだけ。これができると次の一手が入ります。小さな成功が安心を増やします。
■⑥ 記憶ではなく「今の感覚」を整えると落ち着きが戻る
認知症の方は、説明より感覚が効きます。寒い、暑い、喉が渇く、騒がしい、眩しい。感覚の不快が混乱を増やします。被災地でも、温かい飲み物や毛布で落ち着く場面を見ました。安心は言葉だけでなく、温度・水分・姿勢・静けさで戻せます。
■⑦ 混乱が続くときは「同じ人が同じ言葉」で対応する
対応者が次々変わると、混乱が増えます。言葉も変わると不安になります。混乱が続くときは、同じ人が同じ言葉で対応します。短いフレーズを決めて繰り返す。被災地でも、対応が統一されているほど落ち着きが早かったです。統一は安心になります。
■⑧ 最後は「落ち着いた後の再発予防」で、刺激を減らす配置にする
一度落ち着いても、刺激が強いと再発します。人混み、騒音、寒さ、暗さ。落ち着いた後は刺激を減らす配置にします。出口付近の混雑を避け、トイレや水に近い場所にし、足元を照らし、座れる場所を確保します。環境を整えることが一番の予防です。
■まとめ|混乱時は「安全確保→短い肯定→一つだけ行動→感覚を整える」で安心が戻る
認知症の方が混乱したときの声かけは、理解させるより安心を戻すことが目的です。最優先は安全確保で移動を止め、危険から離します。声かけは短く、肯定し、ゆっくり。同じ言葉を繰り返します。否定や訂正はせず、安心できる居場所を先に作ります。お願いする行動は一つだけにして、選択肢を出さず、温度・水分・姿勢・静けさなど“今の感覚”を整えると落ち着きが戻りやすいです。混乱が続くときは同じ人が同じ言葉で対応し、落ち着いた後は刺激を減らす配置で再発を防ぎます。
結論:
認知症の方が混乱したら「まず安全確保、次に短い肯定の言葉を繰り返し、行動は一つだけお願いして感覚を整える」ことで、安心が戻りやすくなります。
被災地の避難生活では、正しい説明より、短い安心の言葉と環境調整が効いていました。安心が戻れば行動が整います。声かけは技術ではなく、安心を先に渡す順番です。

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