災害で助かったはずなのに、避難生活の中で体調を崩し、命を落としてしまう。
これが災害関連死です。
被災地派遣の現場でも、避難所や自宅避難の環境が悪いほど、体調を崩す人が増えることを見てきました。
災害関連死は「運が悪い」ではなく、多くが防げる領域です。
この記事では、災害関連死が起きる理由と、減らすための具体的な視点を整理します。
■① 災害関連死とは何か
災害関連死とは、地震や津波などの直接の被害ではなく、避難生活や災害後の生活環境の悪化によって亡くなることです。
主な原因は、持病悪化、肺炎、血栓、感染症、低体温、熱中症、栄養不足、睡眠不足、強いストレスなどです。
「命を守ったあと」に起きる死亡リスクと言えます。
■② なぜ避難生活で命が危うくなるのか
避難生活は、生活の基盤が一気に崩れます。
・トイレが足りない
・水が足りない
・寒い、暑い
・眠れない
・清潔が保てない
・薬が途切れる
・情報不足で不安が増える
これらが重なると、体は持ちこたえられません。
災害関連死は「小さな負担の積み上げ」で起きます。
■③ 被災地で多かった“崩れ方”
被災地派遣で現場に入ったとき、特に多かったのは次の流れです。
・トイレが嫌で水分を控える
・脱水気味になる
・動かなくなる
・便秘や血栓のリスクが上がる
・体調不良が増える
避難所でも車中泊でも、トイレと水が崩れると一気に体調が悪化します。
これは現場で繰り返し見たパターンです。
■④ リスクが高い人は「高齢者」だけではない
災害関連死のリスクは高齢者が目立ちますが、実際は広いです。
・持病がある人
・薬が必要な人
・妊産婦
・乳幼児
・障害のある人
・睡眠が取れない人
・ストレスに弱い人
災害は、弱点が露出する環境です。
誰でも体調を崩す可能性があります。
■⑤ 予防の柱は「トイレ・水・睡眠・体温・薬」
災害関連死を減らすための優先順位は、現場視点では次の通りです。
1) トイレ(我慢させない)
2) 水(飲用+生活用水)
3) 睡眠(寝具と静けさ)
4) 体温(寒さ暑さ対策)
5) 薬(途切れない仕組み)
特別な装備より、生活を回す基盤が重要です。
■⑥ 避難所でも自宅でも「動くこと」が命を守る
災害時、人は動かなくなります。
しかし動かないほど血栓や体力低下のリスクが上がります。
・こまめに足首を回す
・立ち上がって歩く
・水分をこまめに取る
・深呼吸する
避難生活は、体を守るための“小さな運動”が必要です。
■⑦ 情報と心の負担も災害関連死につながる
情報不足は不安を増やし、過剰な情報は眠りを奪います。
不安が続くと、体調も崩れます。
被災地派遣でも、夜に情報を追い続けて眠れず、体調を崩す人がいました。
情報は「公式に絞る」「夜は切る」が現実的です。
心が壊れない避難は、命をつなぐ避難です。
■⑧ 今日からできる最小行動
災害関連死を減らすために、今日からできることはシンプルです。
・簡易トイレを確保する
・寝具(毛布・マット)を見直す
・水を飲用と生活用水で分けて考える
・薬や処方情報をまとめる
・暑さ寒さ対策を一つ用意する
小さな備えが、避難生活の崩れを防ぎます。
■まとめ|災害関連死は「避難生活の崩れ」を防げば減らせる
災害関連死は、直接被害ではなく、避難生活や生活環境の悪化で亡くなることです。
原因は、トイレ不足による脱水、睡眠不足、寒暖差、感染症、持病悪化、ストレスなどが重なって起きます。
優先すべきはトイレ・水・睡眠・体温・薬で、生活を回す基盤を守ることです。
結論:
災害関連死は「命を守ったあと」に起きるが、トイレ・水・睡眠・体温・薬を優先して避難生活の崩れを防げば、多くは減らせる。
被災地派遣の現場で強く感じたのは、避難生活の環境が整うほど体調不良が減り、回復が早いという現実です。
防災士として、災害関連死対策は備蓄よりも“生活を崩さない設計”が鍵だと考えています。

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