【元消防職員・防災士が解説】冬に増えるプロパンガス事故と“絶対にやってはいけない行動”

冬はプロパンガス(LPガス)による事故が増える季節。
寒さで機器に負荷がかかり、暖房・給湯の使用量が一気に増えるため、ガス漏れ・爆発のリスクが高くなる。

ここでは、冬に特に注意すべきポイントと、家庭でできる安全対策をまとめる。

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■① 気温低下で“ゴムホースが固くなる”
冬はゴムホースが硬くなり、次のような劣化が一気に進む。

・ひび割れ
・緩み
・接続部のズレ

ガス臭がしなくても、接続部が少しでもガタつくなら使用を中止する。

■② 給湯器の“凍結→破損→ガス漏れ”が冬の定番事故
外気温が0度近くになると、給湯器内部の水が凍結し、配管が破損することがある。

【破損のサイン】
・給湯器下から水が漏れる
・異音、ガラガラ音
・点火しない
・エラーコード頻発

この状態で無理に使用すると「ガス漏れ+電気火花」で爆発の危険あり。

■③ “室内でのガス暖房”は酸欠・不完全燃焼のリスク
プロパンガスを使う開放式ストーブを室内で使う場合、次の危険がある。

・酸欠
・一酸化炭素中毒
・換気不足による不完全燃焼
・カーテンへの引火

換気を15~30分に一度行わない家庭が多く、冬は特に危険。

■④ “換気扇の凍結”で燃焼ガスが逆流する
雪国で多発するのが、給湯器周りの凍結や積雪によって換気が塞がれる事故。

・給湯器の排気口を雪が覆う
・凍結で排気がうまく流れない
→ 一酸化炭素が逆流し、室内に入り込む恐れ

雪や氷が溜まりやすい家庭は、毎朝必ず確認したい。

■⑤ 冬は“プロパンタンクの霜”で異常に気づける
タンクの表面に霜がつくのは正常だが、次の状態は危険。

・バルブ付近だけ霜がついている
・配管の一部が白く凍っている
→ ガスが大量に流れている可能性あり(=漏れのサイン)

触らずすぐにガス会社へ連絡する。

■⑥ ガスが出にくい→“タンクを叩く”は最悪の行為
寒くなると火力が落ちるため、次の行動をする人がいる。

・タンクを叩く
・配管を揺する
・ゴムホースを押し込む

すべて爆発リスクが非常に高く、絶対にやってはいけない。

■⑦ 停電復旧直後の“誤作動”は冬に多い
冬季の停電復旧直後は、給湯器の誤作動が増える。

理由:
・温度差による結露
・瞬間的な電圧変動
・内部センサーのリセット

復旧後すぐ使わず、臭い確認と1分程度の待機が安心。

■⑧ 冬のプロパンガス“安全チェックリスト”
次の項目を毎日確認すると事故を大幅に減らせる。

□ ガス臭がない
□ ホースが硬化・ひび割れしていない
□ 給湯器周辺に雪・氷がない
□ 排気口が塞がれていない
□ タンクバンドが緩んでいない
□ 霜の付き方がおかしくない
□ 暖房器具は必ず換気して使用

1つでも気になる点があれば使用しない。

■⑨ まとめ
・冬はガス漏れ・不完全燃焼・凍結破損が急増
・ホース劣化・給湯器の凍結は重大事故につながる
・タンクや配管を触って直そうとしない
・停電復旧直後は特に注意
・迷ったらガス会社点検を待つのが最も安全

冬こそ、プロパンガスの安全確認が“命を守る行動”になる。

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