一般家庭のプロパンガス（LPガス）は、家ごとにボンベが設置される「個別供給」が多いが、
マンションや団地などでは、複数世帯分をまとめて供給する「集中プロパン方式」が採用されていることがある。
見た目は“集合型のガス庫”があるだけなので気づきにくいが、災害時は個別供給とは注意点が異なる。
ここでは集中プロパンの家庭が必ず知っておくべきポイントをまとめる。
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■① 集中プロパンとは「一括管理型のLPガス」
建物内の各家庭に個別ボンベを置かず、外部にまとめてボンベを設置し、
そこから配管で各部屋へガスを供給する方式。
【特徴】
・ボンベが外部に集中して管理される
・ガス会社が遠隔監視している場合が多く安全性は高い
・料金も安定しやすい
ただし、災害時は“集中しているがゆえの弱点”が出てくる。
■② 地震・強風で最も問題になるのは「ボンベ群の転倒」
個別ボンベと違い、集中プロパンは
●大量のボンベが一方向に並んでいる
●重量が大きく、揺れで倒れやすい
●一度倒れると管理区域全体が停止する
というリスクがある。
【被害例】
・強い揺れでボンベラックごと倒壊
・配管破損→広範囲の漏えい
・安全装置作動で建物全体がガス停止
一戸だけの被害ではなく“建物全体のライフラインが止まる”点が大きい。
■③ 安全装置が一度作動すると復旧に時間がかかる
集中プロパンは、
・圧力低下
・地震感知
・漏えい検知
などで自動的に全体停止される。
【復旧手順】
① ガス会社が現場点検
② ボンベ・配管・調整器の安全確認
③ 全世帯のガス機器チェック
④ 立ち会いのうえ再開栓
これらが必要となるため、個別プロパンより復旧が遅くなる傾向がある。
■④ 豪雨・土砂災害時は「流失リスク」に注意
集中ボンベは建物の外側に置かれることが多く、次の被害が起こりやすい。
・浸水によるボンベ浮遊
・土砂崩れでボンベラックごと押し流される
・倒木・飛来物で配管破損
流出したボンベは爆発リスクが高く、消防でも真っ先に警戒する対象になる。
■⑤ 停電時の動作にも差がある
集中プロパンの場合、
・ガス供給自体はボンベなので生きている
・ただしガス給湯器は停電で使えない
・オートロックやポンプが止まる建物ではお湯の供給停止が発生
停電＋断水が重なると、一気に生活が不便になる。
■⑥ 集中プロパン方式の家庭が今すぐできる防災対策
□ 建物のガス庫（集中ボンベ）を確認する
□ ボンベの固定状況（チェーン・バンド）をチェック
□ ガス会社の緊急連絡先をメモ
□ 地震後は部屋の中のガス漏れ臭に注意
□ 復旧時は必ず立ち会い、ガス機器の点検を受ける
特に「ボンベの固定状況」は、管理会社任せにせず年1回は自分でも確認したい。
■⑦ まとめ
・集中プロパンは複数世帯をまとめて供給するため災害時の停止範囲が大きい
・ボンベ群の転倒や流失は重大事故につながる
・復旧にはガス会社の点検が必要で時間がかかる
・自宅のガス方式を把握して対策をとることが防災の第一歩
集中プロパン方式のマンション・アパートに住む人は、
「ガス庫の状態を確認しておく」「ガスの復旧手順を知る」
だけでも、災害への強さが大きく変わる。
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