近年、光熱費の最適化や住まいの安全性から「オール電化住宅」を選ぶ家庭が増えている。
しかし、防災の視点で見ると、オール電化には“強み”と“弱点”がはっきり存在する。
ここでは災害に備えるために知っておくべきポイントをまとめる。
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■① オール電化の大きなメリット
オール電化の最大の強みは「火災リスクの低さ」と「安定した調理環境」。
●火を使わないため火災リスクが低い
IHクッキングヒーターは、ガス機器に比べて出火源が限定される。
高齢者の家庭・小さな子どもがいる家庭では特に安全面のメリットが大きい。
●ガス漏れ事故が起きない
地震で配管が破損しても「ガス漏れ」が発生しないため避難リスクが減る。
●換気も比較的少なくてよい
IHは燃焼を伴わないため、ガスよりも換気の必要性が低く、災害時に窓を開けづらい場面でも助かる。
●深夜電力を使った給湯でコストが安定しやすい
エコキュートなどと組み合わせると、ランニングコストが抑えられる家庭も多い。
■② オール電化の大きなデメリット
メリットがある一方、災害時には“電気依存”が弱点となる。
●停電＝生活機能がほぼ停止
・IHが使えない
・給湯器（エコキュート）が動かない
・暖房（エアコン）も停止
特に冬場の停電は生活に大きな影響が出る。
●復旧は「電力会社次第」
ガスと違い、電気は広域で一気に止まる。
大規模災害では“数日〜1週間以上の停電”が発生することも珍しくない。
●水害に弱い設備がある
エコキュートは屋外設置のため、浸水・転倒・故障リスクがある。
■③ オール電化住宅が災害時に困るポイント
●「火」が使えないため、調理の手段がゼロになる
●温かい食事・お湯が作れない
●シャワー・風呂が使えない
●エアコンが止まり、熱中症・低体温のリスク上昇
●スマホ・通信機器の充電が追いつかない
災害時は“電源がすべて”になる。
■④ オール電化の家庭が必ず備えておきたい防災対策
オール電化の弱点を補うには「自宅に電源を持つこと」が重要。
●ポータブル電源（大容量）
・1,000Wh以上が目安
・IHは使えなくても、湯沸かしケトル・冷蔵庫・照明が生きる
●太陽光パネル（家庭用 or ポータブル）
停電が長引いても“自家発電”できる体制が最強。
●カセットコンロ
IHが使えない状況でも、調理・湯沸かしが可能。
※災害時に最も役立つ調理器具の1つ。
●飲料水・生活用水の備蓄
給湯器が止まるため「お湯が出ない」ことを前提に準備。
●冬場対策の暖房アイテム
・寝袋
・使い捨てカイロ
・毛布
・保温ポンチョ
停電時の“室温低下”は命に関わる。
■⑤ エコキュートは災害時に「非常用タンク」になる
エコキュートのタンクには300L前後の水が入っており、
停電・断水時に“非常用生活用水”として利用できる。
使用ポイント
・飲用ではなく生活用水（トイレ・洗濯・手洗い）
・日頃から排水方法を確認しておく
・災害時は中の水をすぐ抜かない
家族分の生活用水として非常に心強い。
■⑥ まとめ
・オール電化は火災リスクが低く、日常の安全性は高い
・一方で「停電に極端に弱い」ことが最大の欠点
・災害を考えるなら、電源確保を中心に備えを固める
・カセットコンロと大容量ポータブル電源は必須
電気の“便利さ”と“脆さ”はセットになっている。
オール電化の家庭ほど、停電対策の有無が防災力に直結する。
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