【防災士が解説】月1キャンプが家族を守る力になる理由|習慣が命を救う

3月の防災月間を前に、備蓄を見直しているご家庭も多いでしょう。水や食料、防災リュックの中身を整えることは大切です。しかし、現場で強く感じてきたのは、「物」よりも「身体が覚えた習慣」のほうが家族を救う場面が多いということです。

高価な防災セットも、使ったことがなければ非常時には活かせません。そこで提案したいのが、キャンプを“レジャー”ではなく“訓練”として捉える発想です。


■① 災害時に差が出るのは「知識」より「反復」

停電した冬の夜、冷えた家族の前で迷わずお湯を沸かせるか。
これは知識量の問題ではありません。「いつもの手順」が身体に入っているかどうかです。

災害時は暗闇・寒さ・焦りが重なります。その中で人は、考えるよりも“習慣”で動きます。
だからこそ、月1回のキャンプ体験は強力な防災訓練になります。


■② 「1分以内の火起こし」が心の余裕を生む

火起こしは象徴的なスキルです。最初は時間がかかりますが、反復すれば短時間でできるようになります。

私は被災地派遣やLO業務に関わる中で、明かりや温かい飲み物が人の心理をどれだけ安定させるかを見てきました。
火を扱えるという感覚は、「何とかできる」という自己効力感につながります。

パニックを抑える最大の武器は、道具ではなく“手順を身体が覚えていること”です。


■③ キャンプで身につく実践スキル(調理編)

キャンプはそのまま災害サバイバルの縮図です。

・焼く・煮るだけのシンプル調理
・カセットコンロ+フライパン1つで完結
・皿にラップやアルミホイルを敷いて洗い物削減
・ウェットティッシュ→仕上げ拭きで水を節約

避難生活では水が貴重です。
日常で一度でも「水を使わない工夫」を体験しているかどうかで、対応力が変わります。


■④ 生活面で差が出るスキル

・暗闇でのヘッドライト操作(両手が空く重要性)
・寒さに応じたレイヤリング(着脱で体温調整)
・雨天時の荷物管理(濡れていいもの/NGの仕分け)

これらは避難所や在宅避難でそのまま役立ちます。

特に寒さ対策は重要です。東日本大震災後の避難所でも、床の冷えや着替え不足で体調を崩す方が多くいました。
アウトドア経験者ほど、重ね着や体温管理が自然にできていました。


■⑤ 「不便の経験」がレジリエンスになる

災害時、人を追い詰めるのは日常とのギャップです。

・風呂に入れない
・電気がつかない
・地面が硬い

これを「初体験」と感じるか、「いつもの延長」と感じるかでストレスは大きく変わります。

被災地で感じたのは、アウトドア経験のある人は比較的落ち着いていたという事実です。
寒さ・暗闇・限られた資源。この環境を知っているだけで心が折れにくくなります。


■⑥ 月1防災キャンプ|段階的3ステップ

いきなり本格キャンプでなくて構いません。

Step1:月1回、火を使わない夕食
→ パンと缶詰だけで済ませる(30分)

Step2:年4回、デイキャンプ
→ 火起こしから撤収まで家族で分担(4時間)

Step3:年1回、1泊2日キャンプ
→ 電源なし・シャワーなしを体験(24時間)

この段階的な積み重ねが、家族全員の耐性を育てます。


■⑦ 道具は「しまわない」ことが重要

私は元消防職員として強く伝えたいのは、「備蓄は使ってこそ意味がある」ということです。

・カセットコンロは月1回の鍋で使う
・ヘッドライトは夜の散歩で使う
・キャンプギアは押し入れに眠らせない

反復が迷いを消します。
これは現場で繰り返し感じた教訓です。


■⑧ 防災は我慢ではなく“楽しみの延長”にする

「防災のために我慢する」は続きません。
「キャンプを楽しんでいたら、いつの間にか強くなっていた」が理想です。

自治体のハザードマップ確認や備蓄整備は基本です。
その上で、キャンプという習慣を重ねることで、家族の耐災害力は確実に上がります。


■まとめ|家族を救うのはリュックより習慣

備蓄は重要です。しかし、最終的に家族を守るのは“身体が覚えた行動”です。

結論:
月1キャンプは、楽しみながら家族の耐災害力を高める最強の訓練になる。

被災地派遣を経験した防災士として断言します。
非常時に動ける人は、「特別な人」ではありません。
“いつもの手順”を持っている人です。

今年から、楽しみながら備える習慣を始めてみましょう。

出典:Yahoo!ニュース「災害時に家族を救うのはリュックの中身より『身体が覚えた習慣』が重要。月1キャンプが最強の防災訓練に」(2026年2月19日)

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