【元消防職員・防災士が解説】オール電化住宅は“停電が長い災害”にどう備えるべきか

オール電化住宅は、普段の安全性・快適性が高い一方で、大規模災害により長時間の停電が発生すると生活基盤が一気に失われる。
特に地震・台風・豪雪で数日〜1週間の停電になるケースでは、早めの備えが生死を左右する。
ここでは、オール電化住宅が“停電に弱い理由”と、その弱点を確実に補うための対策をまとめる。

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■① オール電化が停電に弱い理由
電気が止まると、以下すべてが同時に停止する。

・IHコンロ(調理不能)
・エアコン(暖房・冷房全滅)
・給湯器(エコキュート稼働不可)
・食洗機・洗濯機
・冷蔵庫
・照明

ライフライン1つの停止で、家中の設備が止まる点が最大の弱点。

■② 調理・湯沸かしの“代替手段”は絶対に必要
IHコンロが止まると、湯を沸かすことすらできなくなる。

【必須】
●カセットコンロ+ボンベ
災害時の調理・湯沸かしはこれ一択。
冬場は特に、温かい飲み物が生命線になる。

【あると強い】
●アウトドア用ガスストーブ(屋外使用のみ)
●レトルト温め用の固形燃料

調理手段があるだけで、災害のストレスが大幅に軽減される。

■③ 給湯の停止は“生活不衛生”を招きやすい
エコキュートが止まると風呂・シャワーが使えない。
ただし、エコキュートのタンク内の水は非常用に活用できる。

●タンクの水は飲用不可 → トイレ・洗い物・手洗いに使用
●取り出し方法は必ず事前に確認
●災害時は“節水モード”で生き残る意識が必要

特に夏場は不衛生になりやすく、感染症のリスクがある。

■④ 暖房が使えないと“命の危険”が高い
冬の停電は、オール電化住宅の最大の弱点になる。

【冷え対策として備えておきたいもの】
・電気毛布+ポータブル電源
・寝袋(-5℃対応)
・ブランケット
・窓のプラダン断熱

体温を守る装備は、最優先の備えになる。

■⑤ 太陽光がある家は“災害耐性”が段違い
オール電化×太陽光発電は非常に強い組み合わせ。

●昼の最低限の電力を供給できる
●スマホ・照明・冷蔵庫の稼働が可能な家もある
●蓄電池があれば“停電しても生活が続く家”に変わる

太陽光の有無で、災害時の生活差が明確に出る。

■⑥ 冷蔵庫停止を最小限にする工夫
停電直後の行動で、食品ロスが大きく変わる。

●冷蔵庫の開閉は原則ゼロ
●冷凍庫は保冷剤で延命
●停電直後に“食べるもの”を判断して仕分け

1回の開閉で、冷気の半分が逃げることを忘れない。

■⑦ オール電化住宅が用意すべき備蓄
最低限、以下は揃えておきたい。

●水(1人1日3L×7日分以上)
●カセットガスは家族人数×1週間分
●電池式ランタン
●ポータブル電源
●モバイルバッテリー(2~3個)
●レトルト食品・缶詰・インスタント食品
●ウェットティッシュ・簡易トイレ

“1週間停電”を前提に考えると、必要量が明確になる。

■⑧ まとめ
・オール電化は“停電すべてが弱点”という構造がある
・調理・照明・暖房の代替手段の整備が最優先
・エコキュートの水は災害時の重要なライフライン
・冬の備えは命に直結する
・太陽光発電があれば停電のダメージは激減する

オール電化住宅こそ、電気が止まる前提で準備しておくことが重要。
弱点を補えば、家は“災害に強い拠点”へ生まれ変わる。

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