【防災士が解説】賃貸住宅は災害リスクが小さい?本当のメリットと盲点

「賃貸は持ち家より災害リスクが小さい」と聞いたことはありませんか?

確かに、賃貸には“身軽さ”という強みがあります。
しかし、防災の観点ではメリットと同時に注意点も存在します。

今回は、賃貸住宅の災害リスクについて整理します。


■① 賃貸は「資産リスク」が小さい

持ち家の場合、
地震・水害・土砂災害で建物が被害を受けると、修繕費は原則自己負担です。

一方、賃貸では建物の修繕責任は大家側にあります。

つまり、

・建物が半壊してもローンは残らない
・建て替え負担がない
・引っ越しという選択がしやすい

この「撤退のしやすさ」は大きな防災メリットです。


■② 危険地域から移動できる柔軟性

賃貸最大の強みは「移動力」です。

・ハザードマップで水害リスクが判明
・近隣に土砂災害警戒区域が指定
・液状化リスクが高いと分かった

こうした場合、更新時期に住み替えが可能です。

持ち家だと簡単には動けません。

災害リスクは“固定されること”が最大の弱点です。


■③ ただし「建物の耐震性」は選べない

賃貸は建物構造を自分で変えられません。

・旧耐震(1981年以前)
・耐震補強未実施
・木造アパートの老朽化

こうした建物は地震リスクが高まります。

阪神淡路大震災でも、旧耐震建物の倒壊が多数発生しました。

賃貸でも、築年数・構造は必ず確認が必要です。


■④ 水害リスクは立地で決まる

賃貸か持ち家かより重要なのは「立地」です。

・河川からの距離
・標高
・浸水想定区域
・内水氾濫の履歴

被災地派遣(熊本地震・九州北部豪雨)で感じたのは、
被害の大半は立地で決まるという現実です。

賃貸でも、低層階は浸水リスクが高くなります。


■⑤ 高層階の“別のリスク”

マンション高層階は浸水に強い反面、

・停電時エレベーター停止
・断水時の生活困難
・給水ポンプ停止

といった問題が発生します。

能登半島地震では、停電・断水が長期化しました。

高層階は“安全”ではなく、“違うリスク”があるだけです。


■⑥ 火災リスクは隣室依存

賃貸住宅は隣室・上下階の影響を受けます。

・隣室出火
・タコ足配線火災
・ストーブ転倒

自分が完璧でも、他者リスクは防げません。

共同住宅は“連鎖型リスク”があります。


■⑦ 賃貸でもできる防災強化策

・感震ブレーカー設置(簡易型)
・家具転倒防止(突っ張り・L字金具)
・非常持ち出し袋の常備
・避難経路の確認

「借り物だから何もできない」は誤解です。

原状回復可能な範囲で十分対策できます。


■⑧ 本当にリスクが小さいのは「判断できる人」

賃貸が安全なのではありません。

リスクを見て動ける人が安全なのです。

・ハザードマップを確認
・築年数を見る
・1階か2階以上か
・周囲の地盤

この判断力こそが、防災力です。


■まとめ|賃貸は“身軽さ”が最大の強み

賃貸住宅は、

・資産損失リスクが小さい
・移動がしやすい

という大きな強みがあります。

しかし、

・立地リスク
・耐震性能
・隣室リスク

は避けられません。

結論:
賃貸は「災害に強い」のではなく、「動きやすい」ことが最大の防災メリットです。

被災地派遣を通じて強く感じたのは、
「動ける人ほど回復が早い」という事実です。

今住んでいる場所は安全ですか?
ハザードマップを一度確認することから始めてください。

出典:国土地理院ハザードマップポータルサイト

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