災害で自宅が使えないとき、電気自動車(EV)は“安全な車中泊スペース”として役立つ。
しかし、正しい使い方を知らないと、逆に危険を招くこともある。
今回は、EVで車中泊避難をする際の注意点と、防災での活用ポイントをまとめる。
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■① 停電や断水時、EVの車内は“命を守る避難場所”になる
停電した自宅より、車内の方が安全な場面がある。
【車中泊でEVが強い理由】
・エアコンが使える
・冷暖房が静かで夜も安心
・スマホ充電が可能
・車内灯や照明も使える
・ドアの施錠で安全確保しやすい
特に、猛暑や寒波で停電したときの車内エアコンは、生死を分ける装置になる。
■② 車内で過ごす時間は“エコノミー症候群”対策が必須
どんな車でも、長時間の車中泊で注意すべき点がある。
【エコノミー症候群対策】
●2〜3時間に一度は外に出て体を動かす
●水分をしっかり取る
●締め付けの少ない服装にする
●足を伸ばせるよう、シートをフラットにする
災害時の車中泊は疲労が大きいため、体調管理が命を守る。
■③ バッテリーは“使いすぎ注意”災害時こそ計画的に
車中泊でエアコンを使うと、想像以上にバッテリーが減ることがある。
【バッテリー管理のポイント】
●災害前に満充電にしておく
●エアコンは「弱」「ECOモード」を活用
●不要な家電は使わない
●数日以上の車中泊はV2Hやポータブル電源と併用
バッテリーを切らして動けなくなるのが最も危険。
■④ EVは“ガス中毒のリスクが低い”のが大きな安全性
ガソリン車と違い、EVは排ガスが出ない。
そのため「アイドリングを続けても一酸化炭素中毒の危険がない」のは大きな強み。
【安心できるポイント】
・子どもや高齢者が車内でも比較的安全
・締め切ったままエアコンが使える
・駐車場でもガス中毒の心配がない
災害時の混乱の中で“静かで安全な空間を確保できる”ことは非常に大きい。
■⑤ ただし“水害”ではEVは絶対に無理をしない
EVで最も危険なのは「浸水」。
【水害時に絶対に守ること】
●冠水道路に入らない
●タイヤが浸かる程度でも危険
●バッテリーが水に浸ると故障・感電リスク
●水没車は絶対に触らない
水害時、車での避難は原則として推奨されない。
■⑥ 車中泊を快適にするために“備えておく物”
EV × 車中泊避難をする可能性がある人は、普段から車に以下を用意しておくと強い。
【おすすめ防災装備】
●モバイルバッテリー
●LEDランタン
●ブランケット・寝袋
●簡易トイレ
●飲料水・食料
●車内用サンシェード
●USB扇風機(夏)
●ポータブル電源(あると安心)
避難所が満員でも、車中泊の準備があると安全度が上がる。
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■まとめ
電気自動車は、車中泊避難との相性が非常によい。
とくに以下の点で災害時の強力な味方になる。
●エアコンが使える
●ガス中毒の心配がない
●静かで安全に眠れる
●スマホやライトを充電できる
その一方で、
●水害での使用
●長期間の車中泊
●バッテリー切れ
には最大限の注意が必要。
EVは“使い方を理解すれば、防災力が大きく上がる車”。
普段から満充電・備蓄品の準備をしておけば、災害時の不安を大きく減らすことができる。

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