避難所運営で最初に詰まりやすいのが「誰が来たのか分からない」問題です。
人数が把握できないと、物資が足りない。要配慮者が見えないと、命に関わる。連絡先が分からないと、家族の安否確認も滞ります。
被災地派遣の現場でも、避難所の初動で名簿作成が遅れると、後から混乱が連鎖するのを何度も見ました。
この記事では、避難所での本人確認・名簿作成をスムーズにする考え方を整理し、4桁PINの扱いと、避難行動要支援者名簿の更新の要点をまとめます。
■① なぜ本人確認と名簿が最初に重要なのか
避難所の名簿は、単なる人数表ではありません。
・物資配布の基準
・要配慮者の把握
・医療・福祉支援の優先順位
・家族への安否情報
・避難所内トラブルの防止
名簿が整うほど、避難所は落ち着きます。
逆に整わないと、物資・支援・情報が全部ズレます。
■② 本人確認の基本方針|“厳密さ”より“回る仕組み”
災害直後に、完璧な本人確認を全員に求めると現場が止まります。
重要なのは段階設計です。
・初動:最低限の確認で受け入れる
・安定後:不足情報を補って更新する
・後日:正式な確認に移行する
「今必要な確認」と「後で整える確認」を分けることで、避難所は回り続けます。
■③ 4桁PINが関係する場面|本人確認の“入口”を早める
4桁PINは、本人確認や手続きの場面で必要になることがあります。
ただし、避難所の初動で全員が使える前提にしないことが重要です。
・PINが分からない人が必ずいる
・高齢者ほど忘れやすい
・避難直後は落ち着いて入力できない
・停電や通信で機器が使えない場合がある
だから現実的には、PINが使える人は使う、使えない人は後で補う、という運用が強いです。
■④ 名簿作成を早める“最低限の項目”
名簿の項目を増やしすぎると、入力が詰まります。
初動は次の最低限で十分です。
・氏名
・世帯人数
・連絡先(本人または家族)
・避難元(住所の地区だけでも)
・要配慮事項(医療・介助・乳幼児・妊産婦など)
詳細は後から追記できます。
最初から完璧を狙うほど、名簿が完成しません。
■⑤ 避難行動要支援者名簿の更新|“名簿がある”だけでは守れない
避難行動要支援者名簿は重要ですが、現場では次の阻害要因が出ます。
・名簿が古い(転居・状態変化)
・本人が避難していない
・支援者が確保できない
・「名簿があるから大丈夫」という油断が生まれる
被災地派遣で感じたのは、名簿は“ある”より“更新されて運用される”ことが命に直結するということです。
名簿を確認したら、現場の情報で必ず更新していく必要があります。
■⑥ 要配慮者を見落とさない工夫|声を上げない人が取り残される
避難所で最も見落とされやすいのは、声を上げない人です。
・認知症で状況説明ができない
・遠慮して我慢する
・外国人で言葉が出ない
・障がいを隠してしまう
・薬が切れても言いづらい
名簿作成の受付で「困りごとチェック」を一言入れるだけで拾えることがあります。
名簿は“聞く仕組み”でもあります。
■⑦ 被災地派遣で見た現実|名簿が整う避難所ほど荒れにくい
被災地派遣の現場で何度も見たのは、名簿が整うほど避難所が荒れにくいということです。
・配布が公平になる
・噂や不安が減る
・要配慮者支援が早い
・夜間トラブルが減る
名簿は事務作業ではなく、避難所の治安と健康を守る道具です。
■⑧ 今日からできる最小行動(住民側)
・家族の連絡先を紙で持つ
・氏名・住所・生年月日をメモして持ち出す
・持病と薬の情報を紙に書く
・高齢家族の暗証番号を家族で共有できる形にする
・避難先で「要配慮事項」を伝える言葉を準備する
■まとめ|名簿は“避難所を落ち着かせる装置”、段階設計と更新が鍵
避難所の本人確認と名簿作成は、物資配布・要配慮者支援・安否確認の土台です。
初動から完璧を狙うのではなく、最低限の項目で早く作り、後から更新して精度を上げる段階設計が現実的です。
4桁PINは使える人には有効ですが、全員が使える前提にせず、使えない人は後で補う運用が重要です。
避難行動要支援者名簿も“あるだけ”では守れず、現場で更新しながら運用して初めて機能します。
結論:
避難所名簿は「早く作って更新する」ほど避難所が落ち着き、要配慮者の見落としを減らせる。
防災士として被災地派遣で見てきた実感として、名簿が整う避難所ほど支援が速く入り、トラブルが少なくなります。最初の名簿づくりが、避難生活の質を決めます。

コメント