【元消防職員・防災士が解説】電気自動車は“停電対策の切り札”になる|家庭の弱点をどう補うのか

電気自動車(EV)は、災害時に「家より強い」場面が多い。
停電・寒さ・真夏の猛暑・情報遮断など、家庭の弱点をEVがどうカバーできるのかをまとめる。

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■① 停電で真っ先に困るのは“冷蔵庫・冷房・暖房”
大規模災害では、電気ストップが生活の中心を一気に奪う。
特に被害が大きいのは次の3つ。

・冷蔵庫の停止
・暖房(冬)/冷房(夏)が使えない
・スマホ・PCの電源確保が難しくなる

この3つが止まると、家庭の生活レベルは一気に下がる。

EVはここを丸ごと補える。

【EVで可能なこと】
・冷蔵庫の延命
・電気毛布や扇風機の駆動
・スマホ・PCの充電
・照明確保
・Wi-Fiルーターの稼働

冷蔵庫が守られると、食材の廃棄が防げる=食料備蓄が長期化できる。

■② 停電中の家は“熱がこもる・寒さが危険”
真夏の停電では室温が上がり、熱中症の危険が一気に高まる。
冬の停電では、体温が下がりすぎて命の危険がある。

車内はエアコンが使えるため、
●夏の熱中症リスク
●冬の低体温リスク
を回避できる。

小さな子ども、高齢者、要介護者がいる家庭では特に大きな差になる。

■③ 家の中より“車の方が安全”な場合がある
災害の種類によっては、家の中が危険になるケースがある。

【家の方が危ないパターン】
・大雨で1階が浸水する恐れ
・土砂災害警戒区域
・停電+断水で生活が完全に止まる
・耐震性の低い建物

こういうとき、EVで高台や安全な避難先へ移動すると、リスクを大きく減らせる。

車内なら、
・冷暖房
・充電
・明かり
・飲料水の確保
など最低限の生活が維持される。

■④ 家族のストレスを大幅に減らせる
避難所は、
・騒音
・他人との距離の近さ
・夜の暗さ
・プライバシーの問題
・感染症リスク
がどうしても大きい。

EVがあれば、短時間でも車内で“心を休ませられる時間”を作れる。
特に子どもがいる家庭には大きな意味がある。

■⑤ 情報収集できる=安全確保につながる
災害時は、正確な情報が命を守る。

【EVで確保できる情報手段】
・スマホ
・タブレット
・PC
・モバイルWi-Fi

停電すると情報が一気に途絶える家庭が多い。
EVがあれば、充電切れの心配をせずに最新情報をチェックできる。

■⑥ EVの電気を最大限活かす“節電テクニック”
災害時の給電で重要なのは、バッテリー管理。

【節電しながら使うコツ】
・冷蔵庫は中身を詰めすぎない
・電気毛布が最も効率的
・IHよりはケトルやポータブル調理器が省エネ
・照明はLEDランタンを併用
・充電はまとめて短時間で行う
・バッテリー残量20〜30%を切らない

節約しながら使えば、生活維持期間が大きく伸びる。

■⑦ EVがある家庭で“事前に準備すべきもの”
EVを防災拠点として使うなら、セットで揃えておきたい装備がある。

【必須装備】
・電気毛布
・LEDランタン
・モバイルバッテリー
・USB扇風機
・飲料水とレトルト食品
・延長コード
・車用サンシェード(夏)
・ブランケット
・小型クーラーボックス

これだけで車内の環境が大幅に快適になる。

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■まとめ
電気自動車は災害時に“家庭の弱点を補う非常用インフラ”になる。

●停電でも冷蔵庫・暖房・冷房が確保できる
●情報収集が止まらない
●避難所よりもストレスが少ない
●早期避難にも使える
●家族の安全と生活レベルを維持できる

EVはただの車ではなく、災害に強い“移動式ライフライン”。
大きな災害が来ても、家族の安心と生活を守る大きな武器になる。

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