【防災士が解説】世界情勢ダッシュボード「World Monitor」が話題!防災の情報収集に活かす現実的な使い方

世界のニュース、軍事・紛争、サイバー脅威、自然災害、金融市場までを一画面で俯瞰できる「World Monitor」というアプリが話題になっています。大型モニターで全画面表示すると、いわゆる“情報機関っぽい雰囲気”で世界の動きを眺められる、という文脈で拡散されました。

ただ、防災の視点で見ると「雰囲気」より価値があるのは、災害や社会不安の兆しを“早めに気づく”ための情報整理です。被災時や災害対応では、情報が多すぎると逆に判断が遅れます。だからこそ、ダッシュボード系ツールは「何を見るか」「何は見ないか」を決めて初めて武器になります。


■① そもそもダッシュボードが役立つ理由:被災時は情報が増えすぎる

災害が起きると、SNS、ニュース速報、気象、交通、停電、給水、避難所、デマ……情報が一気に押し寄せます。現場では、情報が多いほど安心ではなく、むしろ「取捨選択できる人だけが落ち着いて動ける」状態になります。

私自身、被災地派遣・LO・元消防職員・防災士という立場で現場に入ったとき、状況が動くほど重要だったのは“情報の追加”ではなく“情報の整理”でした。何を信じ、何を保留し、次の一手をどう決めるか。判断の速度を支えたのが、俯瞰できる画面と、見る項目を絞った運用でした。


■② 「World Monitor」で期待できること:俯瞰・早期気づき・見落とし減

ダッシュボード系の強みは次の3つです。

  • 俯瞰:個別ニュースより「どこで何が同時多発しているか」を掴める
  • 早期気づき:災害・サイバー・インフラ障害など“兆し”を拾いやすい
  • 見落とし減:複数タブ巡回を減らし、確認漏れを減らせる

防災に置き換えると、「天気・警報」「地震・津波」「交通・停電」「公式発表」を同じ画面で把握できるだけでも、家族の判断が軽くなります。


■③ 防災でのおすすめ用途①:自然災害の“広域状況”をつかむ

災害は、局地の被害だけでは判断できません。上流で降っている雨、近隣の停電、交通遮断、避難所の混雑など、広域の状況が「帰る/待つ/逃げる」に影響します。

こうした広域の変化を地図中心で俯瞰できるツールは、次の判断に向いています。

  • 避難が必要な地域が“広がっているか”
  • 支援や物流が“止まりそうか”
  • 近隣で二次災害(火災・土砂・停電)が増えていないか

■④ 防災でのおすすめ用途②:サイバー脅威と通信障害を“生活リスク”として見る

災害とサイバーは別物に見えて、生活の側から見ると近いです。通信障害やシステム障害が起きると、

  • 決済が止まる(現金が必要になる)
  • 情報が取れない(ラジオ・電池・紙が効く)
  • 連絡が取れない(集合ルールが効く)

つまり「サイバー脅威=現代のライフラインリスク」です。ダッシュボードで“異常が増えている”ことに気づけるだけでも、備えの優先順位が決めやすくなります。


■⑤ 現場で痛感したこと:情報の“見過ぎ”は判断を壊す

被災地対応でよく見たのは、「情報を集めすぎて動けなくなる」状態です。最新情報を追い続けるほど不安が増え、結局、家族の意思決定が遅れます。

ダッシュボードを使うなら、最初にルールを決めてください。

  • 見る時間を決める(例:朝/昼/夜の3回だけ)
  • 見る項目を5つに絞る(警報、交通、停電、公式発表、地域の要点)
  • 1回見たら次は“行動”に移る(備蓄・充電・家族連絡など)

■⑥ 迷ったらこの判断:災害時は「公式→複数一致→SNSは補助」

ダッシュボードは便利ですが、情報の正確性は別問題です。防災の基本はこれです。

1) 公式発表(気象・自治体・警察消防など)を最優先
2) 次に、複数の信頼情報が一致しているかを見る
3) SNSは“現地の様子”として参考にするが、鵜呑みにしない

ダッシュボードは「見つける」には強いですが、「確定する」は公式が必要です。


■⑦ やらなくていい防災:高性能ツールに頼り切らない

高度なツールを入れても、停電・通信障害のときは使えません。だから“並行して”備えるのが現実的です。

  • 紙:家族の連絡先/集合場所/ハザードマップ要点
  • 電池:モバイルバッテリー/乾電池/小型ライト
  • 音:携帯ラジオ(情報の最後の砦になりやすい)

ツールは「平時の整理」と「兆しの察知」に使い、非常時の最終判断は“電気なしでも回る備え”で支える。この二段構えが壊れにくいです。


■⑧ 今日できる最小行動:防災用の“見る項目5つ”を決めて固定する

今日できる最小の整備はこれです。

  • 気象警報(自分の地域)
  • 地震・津波(広域)
  • 交通(通勤・通学ルート)
  • 停電・通信障害(生活影響)
  • 自治体の公式情報(避難所・給水など)

この5つだけを固定し、「見る→判断→1つ行動」の流れを作れば、情報に振り回されにくくなります。


まとめ

「World Monitor」のような世界情勢ダッシュボードは、防災の視点では“情報の収集”ではなく“情報の整理”に価値があります。重要なのは、見る項目を絞り、公式情報で確定し、見たら行動に移すこと。ツールに頼り切らず、紙・電池・ラジオなど電気なしでも回る備えと組み合わせることで、判断が壊れにくくなります。


出典

GitHub – koala73/worldmonitor(World Monitor 公式リポジトリ)
https://github.com/koala73/worldmonitor

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