災害時に「エアーテント(空気注入式テント)」を導入する自治体や企業が増えている。
組み立ての速さや強度が注目されているが、家庭や地域での導入を考える場合、知っておくべきポイントが多い。
ここでは、防災面でのメリットと注意点をまとめる。
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■① エアーテントは“災害現場で即戦力”
エアーテント最大の特徴は、とにかく早いこと。
【特徴】
・空気を入れるだけで1〜5分で設営
・ポールがないため破損リスクが少ない
・複数人で持ち運びやすい
・片付けも短時間で完了
消防・DMAT(災害派遣医療チーム)が使う理由は、
“とにかく早く、安全に空間を確保できる”から。
被災地では、早く安全なスペースを作ることが命を守る。
■② 災害時の用途は“かなり幅広い”
エアーテントは、災害時に多目的に使われる。
【主な活用シーン】
・応急救護所
・トリアージスペース
・避難所内のプライバシー空間
・発電機・資機材の保護
・感染症対策の簡易隔離スペース
・救護・物資配布の拠点
・寒冷地の暖房スペース
とくに、避難所のプライバシーや感染対策には大きな力を発揮する。
■③ 一般家庭で導入するメリット
家庭用としての導入はまだ少ないが、災害時には以下のメリットがある。
【家庭での利点】
・車中泊と組み合わせて“快適空間”を作れる
・在宅避難の補助空間(子ども・高齢者の休憩)
・広い玄関・庭・駐車場に設営できる
・夏は熱中症対策、冬は防寒スペースになる
・物資の仕分け場所として優秀
とくに夏の停電時、エアーテント+扇風機で涼しい影スペースを作れるのは大きい。
■④ 防災現場で感じた“エアーテントの強み”
消防や救護で使っていて感じるのは、次の点。
【現場での強み】
・設営ミスがほぼない
・突風が来ても倒れにくい
・破損しても空気がすぐ抜けない(二層構造が多い)
・暗所や雨天でも短時間で設営できる
災害時は「誰でもすぐ組み立てられる」ことが最大の武器。
■⑤ 一方で“注意点”も多い
エアーテントは万能ではない。
家庭・地区で検討する場合は、以下を知っておくべき。
【注意点】
・価格が高い(5万円〜高級品は100万円超)
・収納時は意外と“重くてかさばる”
・強烈な台風や暴風では危険
・冬はテント内が結露しやすい
・空気入れ(電動ポンプなど)が必須
・炎天下では内部が高温になることがある
特に暴風時は、テントは基本的に使えない。
■⑥ 災害用に導入する場合のポイント
購入する前に押さえておくべきポイントがこれ。
【購入チェックリスト】
・入口の高さは十分か
・換気窓はあるか
・耐水圧がどれくらいか
・強風テストの有無
・ペグ固定用のポイントが多いか
・電動ポンプ付きか
・設営に必要な人数(1人でも可能?)
安い製品は耐水・耐風が弱いものが多いので注意。
■⑦ こういう家庭は“特に相性が良い”
エアーテントが災害時に本領を発揮するのは、こういう状況の家庭。
・乳幼児がいる
・要介護者がいる
・マンションで在宅避難が中心
・車中泊で電源確保できる
・庭・駐車場・広めのベランダがある
・自治会・自主防災組織として備蓄したい
プライバシーの確保、暑さ寒さ対策ができるのはとても大きい。
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■まとめ
エアーテントは、災害時に“短時間で安全な空間を作るための装備”。
消防・救護の現場で多用されるほど信頼性が高い。
【メリット】
・設営が非常に早い
・応急救護・避難・隔離に使える
・家庭の在宅避難を快適にする
【注意点】
・価格が高い
・強風には弱い
・収納が重くなりがち
災害時に「家族のプライバシー・快適性・安全スペース」を確保したい家庭や自治会には、非常に有効な選択肢になる。

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