エアーテントは災害時に役立つ一方、使い方を誤れば「倒壊・破損・熱中症」につながることがある。
ここでは、現場で分かった弱点と、安全に使うためのポイントをまとめる。
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■① エアーテントは“強風には弱い”
空気で形を保つ構造のため、強い横風には大きな影響を受ける。
【弱点】
・台風級の風では倒れる可能性
・固定が甘いと本体ごと浮く
・長時間の突風でフレームが歪むこともある
消防現場でも「風速10m以上」では設置場所を慎重に選ぶ。
防災用として使うなら、強風下での使用は避けた方がいい。
■② 夏は内部が“熱くなりやすい”
エアーテントは空気層があるため保温性が強い。
これは冬は有利だが、夏は逆効果。
【リスク】
・直射日光で内部温度が急上昇
・熱がこもって熱中症リスク増加
・換気窓が少ない製品は特に危険
夏場の災害では、日陰+扇風機+こまめな換気が必須。
■③ 地面のコンディションに影響されやすい
エアーテントは地面にペグで固定する前提の製品が多い。
【場所選びの注意】
・砂地・芝生は固定が弱くなる
・コンクリートでは重りが必須
・傾斜地だと形が歪んで安定しない
災害時は「空いている場所にとりあえず設営」しがちだが、
地面条件を選ばないと安全性が落ちる。
■④ 積雪と寒冷地には工夫が必要
雪の重さが乗ると、エアーテントは耐えられないことがある。
【冬の弱点】
・屋根に雪が積もると形がつぶれやすい
・内部外部の温度差で結露が増える
・暖房機器を使うと内部が過乾燥になりやすい
豪雪地帯では、こまめに雪を落とすか、屋根形状が強いモデルが必要。
■⑤ 空気漏れの“早期発見”が命
エアフレームは強いが、
破損すれば空気がゆっくり漏れる。
【よくある破損の原因】
・鋭利な瓦礫
・木の枝
・地面の石
・ペグの金具との摩擦
災害現場では必ず「下にブルーシート」を敷く。
家庭でも、地面保護は必須。
■⑥ 夜間設営は“事故が多い”
暗い時に設営すると、このような危険がある。
【リスク】
・地面の石に気付かず穴あき
・強風に気付かず設営
・ペグの固定忘れで倒壊
夜や雨天時は、必ずライトを複数使用し、
周囲の状況を把握してから設営したい。
■⑦ 大きすぎるテントは“無駄”になる
災害時は、使わないスペースが逆に負担になる。
【大型テントの問題】
・内部の温度管理が難しい
・設営に人数が必要
・荷物が多く運搬が大変
家庭用なら“1〜2人で設営できるサイズ”が最適。
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■まとめ
エアーテントは災害時に強力なツールだが、弱点も多い。
特に「強風・熱・地面・雪・破損」は見落としがち。
【エアーテントの主な弱点】
・強風に弱い
・夏は高温になりやすい
・地面条件に左右される
・積雪でつぶれる可能性
・破損すると空気漏れ
・夜間の設営は事故が増える
弱点を理解し、正しい使い方をすれば、
エアーテントは災害時に大きな安心と安全をもたらす。

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