災害現場で導入が進むエアーテントは、
「早く設営できて便利」というメリットがある一方、
実際の運用ではトラブルが起きやすい。
ここでは、現場で頻発する“見落としがちな失敗”をまとめる。
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■① 設営位置の判断ミスで“水没”する
エアーテントは床が薄く、排水が悪い場所に設置すると雨水が侵入しやすい。
・グラウンドの低い位置
・駐車場の水たまりライン
・側溝の近く
豪雨時には、数センチの浸水でも内部が使えなくなる。
設営時は必ず“排水の流れ”を確認することが重要。
■② ペグ打ち不足で風に弱い
しっかり固定していないエアーテントは、強風で動きやすい。
・ペグの本数不足
・地面が硬く刺さらない
・ロープの張力が弱い
特に台風や冬の季節風では、内部の備品ごと倒れる危険がある。
重しの追加や、補助ロープの二重張りが必要。
■③ 発電機と近いと“排気ガス”が侵入する
テント横に発電機を置きがちだが、排気ガスが内部に流れやすい。
・CO中毒の危険
・頭痛や吐き気を訴える人が出やすい
・長時間の運用で健康被害が出る可能性
発電機は必ず“風下かつ離れた場所”に設置するのが鉄則。
■④ 内部の照明が熱を生む
照明器具から出る“熱”でテント内が急激に暑くなることがある。
・LEDでない照明
・天井に近い位置での設置
・換気不足
気温管理が難しいエアーテントでは、照明の種類も重要な要素になる。
■⑤ 救護スペースに使うと“プライバシー配慮が不足”しやすい
エアーテントは会話・動きが外に伝わりやすいため、
医療・救護スペースとして使う場合は特に注意。
・問診内容が漏れる
・処置の影が外に映る
・患者の不安が増す
外側にブラインド布を追加するなどの対策が必要。
■⑥ 長時間の運用で内部が“湿気まみれ”になる
呼気・汗・雨水などがこもりやすく、湿度が急上昇する。
・装備が湿って機能低下
・床面が滑りやすくなる
・カビの発生リスク
こまめに換気しないと、使うほど環境は悪化していく。
■⑦ 支柱がない構造なので“接触事故”が起こりやすい
空気で形を保つ構造のため、もたれかかる人が多い。
・外側から押される
・内部にいる人に衝撃が伝わる
・医療機材が倒れる可能性
特に子どもが多い避難所では注意したいポイント。
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■まとめ
エアーテントは「設営が早い」という大きな強みがあるが、
運用面では配慮すべき点が多い装備でもある。
【今回の注意ポイント】
・排水位置の確認
・強風時の固定強化
・発電機の排気対策
・照明による温度上昇
・医療・救護のプライバシー
・湿気と結露
・接触による危険
災害現場では、装備そのものより“使い方の工夫”が命を守る。
地域や避難所でエアーテントを導入する際は、
以上のポイントを押さえておくことで、安全性と快適性が大きく向上する。
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