【元消防職員・防災士が解説】災害時に“キッチンカー支援”が広がる理由と地域の備え方

キッチンカーは、日常ではイベントや移動販売の人気サービスだが、
実は「災害対応力の高い車両」として全国の自治体が注目している。
固定店舗が被災しても動けるキッチンカーは、食の供給ラインとして非常に強い。


■キッチンカーは“災害に強い調理場”になる

停電・断水・ガス停止が同時に起きると、
家庭や避難所では「温かい食事」が作れないことが多い。

キッチンカーには
・LPガス
・発電機
・調理器具
・給水タンク
がそろっており、災害直後でもそのまま調理が可能。

“設備が車内で完結している” ことが、防災と相性が良い最大の理由だ。


■避難所の種類によって移動して支援できる

災害時の避難所は大きく3種類ある。

・指定避難所(学校・公民館)
・福祉避難所(高齢者・障害者向け)
・自主避難所(地域で設置)

安否確認や物資支援は「大規模避難所」に集中しがちだが、
キッチンカーは小規模避難所や山間部にも移動して食事を届けられる。

地域で偏りが出やすい食事支援を“移動力”で補える。


■温かい食事はストレス軽減に直結する

避難生活が長引くほど、
・冷たい食事ばかり
・パンやおにぎりが続く
・栄養バランスが崩れる
といった問題が出る。

キッチンカーがあると
・温かい汁物
・炊き込みご飯
・高齢者向けのやわらか食
などを提供できるため、心理的な安心につながる。

災害時の“食”は、支援の質を大きく左右する。


■地域のキッチンカー事業者との協定が有効

自治体によっては、次のような協定を結んでいる。

・災害時の炊き出し協力
・巡回支援ルートの設定
・給水ポイントの共有
・燃料(LPガス)の優先提供

これにより、被災直後からスムーズに稼働できるようになる。

地域の事業者と日頃から“顔が見える関係”を作っておくことも重要。


■キッチンカー支援の課題

キッチンカーは万能ではない。次の点には注意が必要。

・燃料切れ → LPガス供給の確保が必須
・交通規制 → 進入できない地域が出る
・衛生管理 → 保健所ルールとの調整が必要
・スタッフ不足 → 大量調理は人員が必要

これらは自治体・事業者・地域住民が連携することで補える。


■まとめ

キッチンカーは、災害時に
「どこでも移動できる調理拠点」
として大きな役割を果たす。

避難所の規模差による支援の偏りを補い、
温かい食事を迅速に届けることができる貴重な存在だ。

地域防災の仕組みに“キッチンカー支援”を取り入れることで、
より実効性の高い災害対策につながっていく。

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