【元消防職員・防災士が解説】米農家×ドローン農薬散布と防災|災害に強い農業をつくる新しい備え方

米農家にとって、災害は「収入」と「生活」を直撃する最大のリスク。
台風・豪雨・猛暑・害虫被害が年々増える中、近年はドローン農薬散布が“防災の一つ”として注目されている。
ここでは、農業と防災の視点から、ドローン散布の強みと備え方をまとめる。


■① 災害後の“害虫急増”に素早く対処できる

台風や豪雨の後は、
・水田の湿度上昇
・株の弱り
により害虫が一気に広がることがある。

手作業や動噴では間に合わないタイミングでも、ドローンなら
短時間で広範囲に散布でき、被害の拡大を抑える。

● 1〜2時間で数ヘクタール
● 足場が悪い田でも作業可能
● 人手が不足しても対応できる

→災害直後のリスクを最小限にできる。


■② “高温作業”を避けられ、熱中症対策に効果大

猛暑の中での背負い散布は、米農家にとって大きな負担。
高温での長時間作業は、熱中症リスクが急上昇する。

ドローンなら、

● 直射日光下に長く立たない
● 最短20〜30分で作業完了
● 年齢を問わず作業が可能

特に災害後の復旧期は体調を崩しやすい。
省力化は防災そのもの。


■③ 豪雨や冠水後の田んぼにも入らず作業できる

水が引かない田んぼは、人が入ると転倒や機械の故障につながる。
ドローンなら、
足場が悪くても上空から安全に散布できる。

● 冠水した田
● ぬかるんだエリア
● 獣害で荒れた場所

現場の危険を避けながら農薬散布を実施できる。


■④ 人手不足の時代に“災害に強い労働力”になる

農家の高齢化・人手不足は深刻。
台風後・長雨後など、散布の「最適タイミング」を逃すと収量に影響が出る。

ドローン導入で、

● 1人で散布可能
● 災害後の繁忙期でも作業が回る
● 農作業の遅れを最小限にできる

→災害に左右されにくい“強い農業”を作れる。


■⑤ 災害時は“地域支援ツール”にもなる

ドローンは防災現場での活用も増えている。

● 上空からの被害確認
● 人が近づけない場所の状況把握
● 災害ボランティアの安全確保
● 獣害状況の調査
● 集落の孤立状況の確認

米農家がドローンを保有していれば、
地域全体の防災力向上にも直結する。


■⑥ 農薬散布ドローンの“災害時の弱点”も知っておく

便利だが、停電・悪天候に弱いのも事実。

● バッテリー充電に電力が必要
● 強風では飛行不可
● 豪雨では作業できない
● 故障時の予備機体が必要

→ソーラーパネル・発電機の併用が防災力を高める。


■⑦ ドローン導入は「農業のBCP対策」

企業が事業継続計画(BCP)を作るように、農業にもBCPが必要な時代。
ドローン散布はその中心の一つになる。

● 災害後でも必要作業を続けられる
● 人に頼らない作業ができる
● 作業の安全性が向上する
● 収量の安定につながる

つまり、
ドローン=農家が生き残るための“災害対策装備”
という考え方が自然になってきている。


■まとめ|“ドローンを持つ農家”は災害後に強い

米農家がドローンを導入すると、

● 災害後の害虫急増に迅速対応
● 熱中症リスクを大幅に低減
● 冠水・ぬかるみでも散布可能
● 作業が遅れず収量が安定
● 地域の防災力向上に貢献
● 停電や風雨にはバックアップ電源が有効

農業と防災は切り離せない。
自然と向き合う米農家にこそ、ドローンは“強力な災害対策”になる。

農業の未来を守るためにも、ドローンの活用を前提にした防災プランを考えておきたい。

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