【防災士が解説】春の登山・ハイキングで遭難しないために|気象リスクと持ち物チェック

春の登山・ハイキングは人気ですが、遭難や低体温、滑落が増えやすい季節でもあります。理由は「暖かいイメージ」と現地の条件がズレるからです。平地が春でも、山は冬に近いことがあります。この記事では、春山の気象リスクを正しく見抜き、遭難しないための判断基準と持ち物を整理します。


■① 春山は「平地の春」ではなく“冬と春の混在”

春は日差しが強くなりますが、山では次の条件が同時に起こり得ます。
・風が強い
・気温が低い
・残雪や凍結が残る
・午後に天気が崩れやすい
「暖かいはず」と思って薄着・軽装になると、体温を奪われやすくなります。


■② 春の遭難リスクは「低体温」と「道迷い」がセットになりやすい

春は気温差が大きく、濡れると一気に危険になります。
・汗冷え
・雨や霧で濡れる
・風で体温が奪われる
さらに霧や天候悪化で視界が落ちると、道迷いが起きやすくなります。低体温は判断力を落とすため、迷いが長引く悪循環になります。


■③ 天気の見方は「山の天気」と「時間帯」を分ける

出発前に見るべきは、次の3点です。
・山域の天気(平地の市街地予報だけで判断しない)
・風の強さ(体感温度が大きく変わる)
・午後の崩れやすさ(春は午後に悪化しやすい)
山では「朝OKでも午後NG」が起きるため、早出早着が基本になります。


■④ 引き返し判断は“頂上”より「ここでやめる」を先に決める

遭難を防ぐ最大のコツは、引き返す基準を先に決めることです。
・雲が厚くなり始めた
・風で体が持っていかれそう
・雨粒が落ちた
・予定より遅れている
迷ったら引き返す。春山はこの判断が特に重要です。


■⑤ 春の持ち物は「濡れない」「冷えない」を最優先

春山の装備は軽量化より安全優先です。
・レインウェア(上下)
・防寒(薄手ダウンやフリース)
・手袋とニット帽(風対策)
・予備の靴下
・ヘッドライト(下山が遅れた時の必需品)
・行動食と水(多め)
「春だから大丈夫」を装備で打ち消すのが安全です。


■⑥ スマホ頼みを減らす「道迷い対策」

春は霧や雨で視界が落ち、道迷いが起きやすくなります。
・登山道の分岐を事前に確認
・オフライン地図を保存
・モバイルバッテリー
・紙の地図があれば安心
スマホが使えない前提を少しだけ入れると、遭難リスクが下がります。


■⑦ 春の危険は「帰りの下り」で起きやすい

事故が多いのは、実は下山時です。
・疲労で足が上がらない
・濡れた木道や岩が滑る
・夕方に冷えて動きが鈍る
下山は“登りより慎重に”が基本です。ペースを落として確実に降ります。


■⑧ 被災地経験で感じた「体温が落ちると人は動けなくなる」

被災地派遣では、寒さと濡れで体力が落ち、動けなくなる人を何度も見ました。元消防職員として現場にいると、低体温は本人が気づく前に進み、判断が遅れることが多いと痛感します。山も同じで、濡れたまま風に当たると一気に危険側に寄ります。春山は“暑い日”ほど汗冷えに注意し、濡れない・冷やさない装備が命を守ります。


■まとめ|春山は「天気の急変」「低体温」「引き返し判断」で遭難を防げる

春の登山・ハイキングは、平地の春とは条件が違い、低体温と道迷いが起きやすい季節です。山域の天気と風を確認し、午後悪化を前提に早出早着にする。装備は濡れない・冷えないを最優先にし、引き返す基準を先に決める。これだけで遭難リスクは大きく下がります。

結論:
春山は「濡れない・冷やさない装備」と「迷ったら引き返す基準」で遭難を防げます。
防災士として、自然相手は“勝てる条件でだけ動く”のが最強だと感じます。春は油断が出やすい分、淡々と安全側に寄せる準備が効きます。

出典:https://www.jma.go.jp/

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