ドローン農薬散布は、米農家の強力な味方になる一方で、災害時には“弱点”もある。
防災の観点から見ると、この弱点を理解し、対策を準備しておくことが、収量と生活を守るために欠かせない。
ここでは、米農家が知っておくべきドローンの弱点と、その解決策をまとめる。
■① 停電すると“バッテリーが充電できない”
ドローンはバッテリーが命。
災害で停電すると、散布したくても充電ができず、ドローンが使えなくなることがある。
【対策】
● ソーラーパネル発電+蓄電池
● ガソリン発電機(小型で十分)
● モバイルバッテリーと充電器の複数準備
→停電時でも散布のタイミングを逃さない。
■② 風に弱く、台風後は飛行できない時間が長い
農薬散布ドローンは、強風に弱い。
台風が去ったあとでも、風速が落ち着くまで飛行できない。
【対策】
● 風が落ち着く“早朝・夕方”を狙う
● 散布計画を前倒しで調整する
● 予報アプリで風速を常に確認する
→安全第一で無理をしないことが重要。
■③ 雨や霧で飛行不可|“待ったなし”の時期ほど困る
水田の病害虫対策は“タイミング命”。
しかし、ドローンは雨・濃霧では飛行できず、散布が遅れてしまう。
【対策】
● 曇天のうちに前倒し散布
● 天候悪化が予測される時は予備日を確保
● 地域で散布時期を共有しておく
■④ 故障すると完全に止まる|繁忙期は致命的
繁忙期の故障は、そのまま収量に影響。
災害後は湿度や風で機体トラブルも増える。
【対策】
● 年1回の点検
● プロペラ・バッテリーを予備で複数
● 地域で整備業者を共有
● できれば2台運用が最強
■⑤ 保険に入っていないと“故障・墜落の損失”が大きい
災害で風が強い時は、思わぬ事故が起きやすい。
ドローンの修理費は高額で、墜落すれば大損失。
【対策】
● 機体保険
● 賠償責任保険
● バッテリー保証
→災害時ほど安全性と補償が重要。
■⑥ オペレーターが1人だけだとリスク分散ができない
災害時は農家本人も被災する可能性がある。
1人しか飛ばせない状態は、地域全体の農作業遅れにつながる。
【対策】
● 家族で資格取得
● 近隣農家と“飛行チーム”を作る
● 地域のドローン講習会を活用する
■⑦ バッテリー劣化が早い|災害後の連続運転に弱い
災害後は作業が集中し、バッテリーの負荷が一気に増える。
過放電や高温で劣化が加速し、飛行時間が短くなる。
【対策】
● 替えバッテリーを最低4〜6本
● 保管は涼しい場所・50%充電
● 連続運転を避け、ローテーション使用
■まとめ|弱点を知れば“災害に強いドローン”になる
ドローンは弱点こそあるが、対策を打てば災害対応力は格段に上がる。
● 停電対策 → ソーラー・発電機
● 強風対策 → 時間帯と予報の活用
● 雨天対策 → 前倒し計画
● 故障対策 → 点検・予備機材
● 保険加入 → 事故リスク低減
● 操縦者の複数確保 → 地域力UP
● バッテリー対策 → 多本化・ローテ管理
弱点の裏には、すべて“解決策”がある。
ドローンは、米農家にとって今や防災装備の一つ。
災害の多い日本で、農作業を止めないためにこそ、弱点と向き合いながら活用していきたい。

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