災害と同じく、有事対応も「準備の質」で結果が変わります。
日米が図上演習で「反撃能力」の手順を確認したという報道は、装備の話に見えて、本質は“指揮と連携の確認”にあります。ここでは、防災の視点も交えながら、なぜ手順確認が重要なのかを整理します。
■① 図上演習とは何か(実弾を使わない“頭の訓練”)
図上演習は、実際に兵器を使わず、地図や想定シナリオで指揮系統・情報共有・意思決定の流れを検証する訓練です。
災害対応でも同様に、現地訓練とは別に「机上での指揮確認」を行います。動かない訓練こそ、全体像とボトルネックが見えます。
■② 「反撃能力」の手順確認が意味すること
報道では、敵のミサイル発射拠点などを攻撃する手順を確認したとされています。
重要なのは、
・誰が状況を認定するのか
・誰が目標を選定するのか
・どの段階で日米が連携するのか
といった“判断の順番”です。
装備があっても、判断が遅れれば機能しません。これは災害の初動対応と同じ構造です。
■③ 長射程ミサイル配備と“ソフト面”の整備
長射程ミサイルの配備が進む中、ハードだけでなくソフト面(指揮・統制・情報共有)の整備が求められます。
被災地派遣やLOとして現場に入ると、装備の差よりも「指揮が整理されているかどうか」で活動の質が変わることを実感します。
混乱は、物不足より“情報の渋滞”から起きます。
■④ 統合作戦司令部の参加が示すもの
陸海空を一元的に指揮する統合作戦司令部が参加したことは、指揮の一本化を重視している証拠です。
災害現場でも、指揮が複線化すると混乱します。
誰が最終判断を下すのか明確であることは、安全管理の基本です。
■⑤ 抑止力は「実効性」で決まる
抑止力は“持っている”だけでは成立しません。
・発動までの時間
・目標選定の精度
・日米の相互運用性
これらが確認されて初めて、実効性が担保されます。
訓練で手順を確認することは、心理的な抑止効果にも直結します。
■⑥ 情報収集能力と衛星コンステレーション
ミサイル運用には、正確な位置特定と状況把握が不可欠です。
米軍との情報連携、日本独自の衛星コンステレーション整備など、監視能力の強化は“見える化”の取り組みとも言えます。
災害でも同様に、被害情報の集約が早いほど、対応は精緻になります。
■⑦ 防災の視点から見る“事前準備”の価値
私は元消防職員として、そして防災士として、訓練で詰めた手順が現場で命を救う瞬間を何度も見てきました。
東日本大震災や豪雨災害の派遣では、
「決めていた順番通りに動けるか」
が分水嶺でした。
有事対応も同じです。準備の深さが、混乱の短さを決めます。
■⑧ 私たち市民に関係すること
国家レベルの抑止力強化は、直接的には市民生活と距離があるように見えます。
しかし、安全保障の安定は、災害対応力や危機管理体制の整備とも連動します。
重要なのは、国家も個人も「想定し、確認し、修正する」サイクルを回すことです。
まとめ|“手順確認”こそ最大の備え
図上演習で反撃能力の手順を確認することは、単なる軍事ニュースではありません。
結論:
実効性を伴う準備こそが抑止力を生み、危機時の混乱を最小化する。
現場を見てきた立場から言えるのは、備えとは装備ではなく「迷わない手順」です。
それは災害でも有事でも変わりません。
出典:読売新聞「日米『反撃能力』手順を確認、長射程ミサイル配備を見据え図上演習」(2026年2月28日)

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