【防災士が解説】Netflix独占配信と高齢者の情報格差 防災時に見落としやすいITリテラシーの課題

2026年のワールド・ベースボール・クラシックは、日本国内ではNetflixが全47試合を独占配信する形となりました。これはスポーツ視聴の大きな変化ですが、防災の視点で見ると、「情報があっても届かない人が出る時代」に入ったことを意味します。特に高齢者にとっては、契約、通信環境、端末操作、アプリ利用といった条件が重なることで、必要な情報にたどり着きにくくなる可能性があります。防災では、情報そのものより「必要な時に受け取れるか」が大切です。Netflix独占時代は、その課題を分かりやすく示している例だと言えます。


■① Netflix独占配信は何を変えたのか

Netflixは2025年8月、2026年ワールド・ベースボール・クラシックの日本における独占パートナーシップを発表しました。これにより、日本国内では全47試合がNetflixでライブおよびオンデマンド配信される形となりました。これは単に視聴先が変わっただけでなく、「テレビをつければ見られる」時代から、「アプリや契約がなければ見られない」時代へ変わったことを意味します。

防災士として見ると、この変化は娯楽の話で終わりません。災害時の情報もまた、デジタル化が進むほど「届く人」と「届かない人」の差が広がる可能性があるからです。


■② 高齢者にとって何が壁になりやすいのか

高齢者にとっての壁は、一つではありません。Netflixを見るには、契約、ログイン、アプリ操作、インターネット接続、リモコンやスマホの操作など、複数の手順が必要です。普段からこうした操作に慣れていないと、見たい時にすぐ見られないことがあります。

防災の場面でも同じです。避難情報、自治体アプリ、防災速報、安否確認などがスマホ中心になるほど、操作に慣れていない人ほど取り残されやすくなります。情報格差は、知識の差というより、「触れるかどうか」の差で生まれやすいです。


■③ 高齢者のインターネット利用率は上がっても差は残る

高齢者のインターネット利用は広がっていますが、年齢が上がるほど差はまだ大きいです。総務省の令和5年通信利用動向調査を基にした公開情報では、70〜79歳のインターネット利用率は67.0%、80歳以上では36.4%にとどまっています。つまり、高齢者全体が同じようにデジタルへ移行しているわけではありません。

元消防職員として現場で感じてきたのは、「高齢者もスマホを持っているから大丈夫」と考えるのは危険だということです。持っていることと、必要な時に使えることは別です。


■④ 情報格差は災害時にどう表れるのか

災害時の情報格差は、単にニュースが見られないという話ではありません。避難勧告の意味が分からない、避難所の混雑情報に気づけない、家族との連絡方法が分からない、支援制度の案内にたどり着けない。こうした差が、行動の遅れや孤立につながることがあります。

防災士として現場で見た“誤解されがちポイント”の一つは、情報は出していれば届くと思われやすいことです。実際には、届く形で出さなければ意味がありません。Netflix独占も同じで、配信されていても見られない人は確実にいます。


■⑤ 停電や通信障害が起きるとさらに格差が広がる

高齢者のITリテラシーの問題は、平時だけではありません。災害時は停電、通信障害、スマホの充電切れ、Wi-Fi停止などが重なりやすく、ただでさえ難しいデジタル利用がさらに難しくなります。配信中心の時代は便利ですが、電源と通信が止まると一気に弱くなります。

被災地派遣やLOの現場でも、情報があるかどうかより、「その情報に触れる手段が残っているか」の方が大きな差になっていました。だからこそ、防災ではデジタル一本足では危険です。


■⑥ 高齢者支援で大切なのは「教える」より「一緒に確認する」こと

高齢者の情報格差を減らすには、「もっと勉強してもらう」だけでは足りません。大切なのは、家族や地域が一緒に確認することです。たとえば、スマホで自治体情報を見る練習をする、緊急速報の見方を一緒に確認する、LINEや電話の連絡方法を決めておく。こうした平時の小さな確認が災害時の大きな安心につながります。

防災士として感じるのは、高齢者支援は知識を押し付けるより、「一回一緒にやってみる」方が圧倒的に効果が高いということです。


■⑦ 情報アクセスは複線化しておくべき

Netflix独占時代から学べる大きな教訓は、情報手段を一つに頼らないことです。テレビ、ラジオ、紙のハザードマップ、防災無線、電話、近所の声かけ、家族の連絡ルールなど、複数の入口を持っておくことが大切です。特に高齢者がいる家庭では、「スマホがあるから大丈夫」ではなく、「スマホが使えなくてもどうするか」まで決めておいた方が安心です。

防災士から見た実際に多かった失敗の一つは、最新の便利な手段だけ整えて、昔ながらの手段を切ってしまうことでした。防災では、古い手段ほど最後に残ることがあります。


■⑧ Netflix独占時代は防災にも警鐘を鳴らしている

Netflix独占配信は、スポーツ視聴の新しい流れである一方、防災の面では「デジタル化が進むほど、取り残される人への配慮が必要になる」ことを教えてくれます。特に高齢者では、情報格差がそのまま避難行動の差や孤立の差になりやすいため、平時からの支え方が重要です。

元消防職員として強く感じてきたのは、災害時に人を守るのは最新技術そのものではなく、「その人が本当に使える形で情報が届くこと」だということです。配信時代が進むほど、この視点はより大切になります。


■まとめ|Netflix独占時代は高齢者の情報格差を防災目線で考えるきっかけになる

Netflix独占配信は、便利で柔軟な視聴スタイルを広げる一方で、契約、端末操作、通信環境、充電の有無などによって「見られる人」と「見られない人」を分けやすくしています。特に高齢者では、ITリテラシーや利用環境の差がそのまま情報格差になりやすく、防災時には避難行動や支援へのアクセス差にもつながります。だからこそ、防災ではデジタル化を進めるだけでなく、複数の情報手段を残し、家族や地域で支える視点が欠かせません。

結論:
Netflix独占時代に本当に考えるべきなのは、配信の便利さではなく、高齢者を含めて「必要な時に情報へ届けるか」という防災上の情報格差です。
元消防職員として被災地派遣やLOの現場で感じてきたのは、情報を持っていることより、必要な人に届くことの方がずっと大切だということです。高齢者の情報アクセスを支えることは、そのまま命を守る防災になると思います。

出典:Netflix「WORLD BASEBALL CLASSIC INC.とNetflixが、2026年ワールドベースボールクラシックの日本における独占パートナーシップを発表」

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