子どもを守る防災は、大人の防災よりも“難易度が高い”。なぜなら、子どもは危険を判断できず、大人より避難行動が遅れるからだ。

私は消防職員として多くの災害現場に立ち会ってきたが、
「子どもを守れるかどうか」は、親の準備が9割だった。
今回は、防災と子育てを掛け合わせた“本当に必要な行動術”をまとめる。


■子どもは「逃げ遅れる」前提で準備する

災害時、子どもが取る行動はほぼ共通している。

● 泣く・固まる
● 親を探して動き回る
● 危険を理解しない
● 靴を履かず外に出ようとする

だからこそ、「大人が100%誘導する」前提で準備する必要がある。

避難行動は“スピード勝負”。
子どもがいる家庭こそ、早め早めの判断が命を守る。


■乳幼児家庭に必須の備え:避難は“荷物の量”で決まる

乳児や幼児がいる家庭では、避難所ではモノ不足が必ず起こる。
消防学校でも必ず教えるが、乳幼児家庭は特に備えが命綱になる。

● おむつ(3日分以上)
● ミルク・湯沸かしセット(カセットコンロ)
● 離乳食・幼児食
● 抱っこ紐(両手が空くことが最重要)
● 使い慣れた毛布・お気に入りグッズ

特に抱っこ紐は“避難のスピードが倍になる”必須装備。
ベビーカーは段差・瓦礫・混雑で使えないことが多い。


■災害時、子どもが不安になるのは「大人の表情」

大きな揺れや停電では、子どもは必ず不安になる。
だから大人は、まず“落ち着いた声”で話すことが重要。

● 「大丈夫だよ」
● 「一緒にいるからね」
● 「ゆっくり動こうね」

言葉より 声のトーン が効く。
消防現場でも、パニックを止められるのは“落ち着いた声”を出せる人だった。

子どもの安心は、親のメンタルにかかっている。


■避難ルートは“子ども目線”で事前に歩く

大人にとって歩ける距離でも、子どもには遠く感じる。
いざというときに歩けなくなる可能性もある。

避難ルートは必ず家族で一度歩いてほしい。

● 歩道の幅
● 車の交通量
● 橋・側溝などの危険地点
● 夜間の照明

そして、
「もし抱っこが必要になったらどうするか?」
までシミュレーションしておく。

避難できるかどうかは、子どもの体力で決まる。


■家庭でできる“子どもの防災教育”はシンプルでいい

小さな子どもには難しい防災教育は要らない。
ただし、「命を守る3つ」だけは教えておくと結果が大きく変わる。

● 揺れたら机の下
● 火を見たら大人を呼ぶ
● 水が増えたら高い場所へ

この3つを“ゲーム感覚”で繰り返すだけで、身体が動くようになる。
防災は知識より“反射行動”が命を守る。


■災害時、親が離れているときの連絡ルール

災害は「親と子が別々の場所」にいる時に起きることが多い。
だから、家族ルールを事前に決めておくことが最重要。

● 集合場所
● 学校や保育園からの避難先
● 親と連絡が取れない時の行動
● 遠方の親戚への連絡(災害では遠方が繋がりやすい)

この“3分で決められるルール”が、家族の命を大きく左右する。


■避難所で子どもを守るポイント:ストレスが最大の敵

避難所の課題は、物資より“ストレス”にある。
子どもは環境の変化に弱いため、以下の対策が重要。

● 音を遮れるイヤーマフ
● お気に入りの玩具
● ブランケット
● 水分・間食(子どもはすぐ低血糖になる)

避難所で一番多いトラブルは「夜泣き」と「疲れ」。
親が子どもをケアできる環境を作ることが最優先だ。


■まとめ|子どもを守る防災は“親の準備と判断力”で決まる

子どもは自分で判断できない。
だから、防災×子育ての要は次の5つ。

● 子どもは逃げ遅れる前提で動く
● 乳幼児家庭は備えが命を守る
● 親の落ち着いた声が子どものメンタルを安定させる
● 避難は子どもの体力・行動力に合わせる
● 家族ルールを事前に決める

災害は“子どもの命を守る行動ができるか”で結果が変わる。
今日から1つだけでも実践すれば、あなたの家族の生存率は大きく上がる。

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