今回は、元消防職員として多くの災害現場を経験した立場から
“子どもの不安を最小限にする防災術”をまとめる。
■① 子どもの“安心グッズ”は避難用バッグに必ず入れる
大人は「機能性」を重視するが、
子どもは“いつもと同じもの”が心の安定になる。
避難袋に必ず1つ入れておきたいものは次の通り。
● お気に入りのぬいぐるみ
● いつも使っている毛布・タオル
● 小さな絵本
● 好きな味のお菓子
これらは避難所でのメンタルケアに絶大な効果がある。
泣き止みやすく、周囲の大人も対応しやすくなる。
■② 子どもは“音”に強いストレスを感じる|イヤーマフは必須
大規模な地震、大雨、サイレン、避難所のガヤガヤ…
子どもは「大きな音」によってパニックになることが多い。
消防現場でも、音によるストレスは子どもの行動を大きく乱す。
そのため、以下の準備が非常に重要。
● 子ども用イヤーマフ
● ノイズを軽減するヘッドフォン
● いつもの音楽を流せる端末
音を遮るだけで、子どもの落ち着きが全く違う。
■③ 親の“最初の一言”が子どものメンタルを決める
揺れた瞬間、停電した瞬間、避難を始める瞬間——
これらのタイミングで、子どもは親の顔色を見て行動する。
●「大丈夫、一緒にいるよ」
●「ゆっくり動こうね」
●「パパ(ママ)は落ち着いてるよ」
言葉の内容より
声のトーンに不安がないことが圧倒的に重要。
消防での災害対応でも、パニックを止めるのは
“落ち着いた声を出せる大人”だった。
■④ 子どもと「避難ルール」を3分だけで共有しておく
防災教育は難しい必要はない。
むしろシンプルであるほど、災害時に体が動く。
たった3分で決められる家庭ルールがある。
● 揺れたら机の下
● 火を見たら大人を呼ぶ
● 水が増えたら高い場所へ
● 親と連絡が取れない時は○○へ行く
小さく、簡単に、短く。
これだけで子どもの行動が大きく変わる。
■⑤ 災害は「親と子が別の場所で起きる」前提で備える
非常時、学校・保育園・習い事など
“子どもだけでいる時間”は意外と多い。
● 学校・園の避難場所を必ず確認
● お迎えが遅れる前提で“心の説明”をしておく
● 家族の集合地点を明確にしておく
● 連絡手段は3種類用意(電話・LINE・遠方の親戚)
災害は「家族が一緒にいる時」に起きるとは限らない。
むしろ“離れている前提”で準備しておくことが重要。
■まとめ|子どものパニックは“準備”でほぼ防げる
子どもは判断できない。
だから、大人の準備と行動力で不安を減らすことができる。
● 安心グッズ
● 音のストレス対策
● 親の落ち着いた声
● シンプルな避難ルール
● 家族が離れても行動できる仕組み
これらを整えておくだけで、子どもは驚くほど強くなる。
防災は“家族を守る技術”。
今日できる1つの備えから始めてほしい。

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