【元消防職員・防災士が解説】子どもを“災害から守る家”のつくり方|家庭でできる防災環境づくり

子育て世帯にとって、災害対策で最も大切なのは
「子どもが安全に過ごせる住環境をつくること」。

大人は自力で判断し動けるが、子どもは環境に左右される。
だからこそ、家そのものを“子どもが生き延びやすい空間”に変えておくことが、防災の核心になる。

ここでは、今日からできる「子どもを守る家庭内防災」をまとめる。


■① 高い場所に“落ちるもの”を置かない

地震で最も多いケガは「家具や物の落下」。
子どもは背が低く、視界が狭いため、上から落ちてくる物に気づけない。

● 本棚の上の収納 → 全撤去
● 電子レンジ・トースター → 低い位置へ
● 観葉植物や花瓶 → 高所から下ろす

“落ちない環境”をつくるだけで、子どものケガリスクは大幅に減る。


■② 家具固定は「子育て家庭こそ最優先」

子ども部屋・リビング・寝室は、必ず家具固定する。

● L字金具
● 突っ張り棒+ポール
● ポリカーボネートの転倒防止板
● 引き出しストッパー
● 食器棚は耐震ロック必須

特に、成長して活発になる小学生は、家具に手をかけたり登ることも多い。
防災のためだけでなく“日常の事故防止”としても重要。


■③ ガラス飛散対策は、子育て家庭のマスト

割れたガラスは子どもが最も危険にさらされる部分。
夜間の地震では、真っ暗な中を裸足で歩くことすらある。

● 飛散防止フィルムを貼る
● カーテンは厚手にする
● テーブルガラスはアクリル板に変更

地震後、家の中を安全に歩ける環境が命を守る。


■④ 夜間の災害に備えて“足元の光”を確保

停電時、子どもは暗闇に強い不安を感じる。
視界が塞がるとパニックになり、行動が遅れる原因にもなる。

● 足元ライト
● 自動点灯のLEDライト
● 蓄光テープ(階段・廊下・扉)

夜に揺れても、子どもが明かりを頼りに安全な場所へ移動できるようにしておく。


■⑤ 非常持ち出し品は“子ども目線”で作る

よくある失敗は「大人が勝手に準備する非常持ち出し」。
だが、子どもが持てない・使えない重さでは意味がない。

● 子ども専用のリュック
● 好きなお菓子・ぬいぐるみ
● 子ども用マスク
● 水は小容量ペットボトル

“自分の荷物”があるだけで、子どもの自信につながり、避難行動が落ち着く。


■⑥ キッチンは“火災が起きにくい状態”に整える

災害時の通電火災は、家庭の大きな脅威。
子どもがいる家庭こそ、キッチンの火災対策は徹底したい。

● コンロ周りに可燃物を置かない
● 電子レンジの上に物を置かない
● タコ足配線をなくす
● ブレーカーの場所を家族で共有

停電→復旧のタイミングで火災が起きるため、日頃の整理が命を守る。


■⑦ ベランダは“避難ルート”として常に確保

子どもは大人より行動が遅い。
だからこそ、避難ルートの確保は常時必須。

● ベランダの物を置きすぎない
● 隣室との隔て板(蹴破り板)の位置を確認
● サンダルは家族分を常備

マンション火災ではベランダ避難が命を救う場面も多い。


■まとめ|子どもの防災は“環境づくり”から始まる

防災は特別なことではなく、家の中の「危険を減らす工夫」の積み重ねでつくられる。

● 落ちる物を置かない
● 家具を固定する
● ガラスを守る
● 夜の光を確保する
● 子どもが持てる防災リュックをつくる

子どもは環境に強く影響される。
だからこそ、親がつくる“安全な家”こそ最大の防災対策となる。

今日の1手が、子どもの命を守る1手になる。

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