【元消防職員・防災士が解説】子どもの“在宅避難力”を高める方法|親が不在でも生き延びるための準備

大規模災害は、必ずしも親がそばにいる時に起きるとは限らない。
学校・習い事・留守番・外出先…。
子どもが“ひとりで判断しなければならない瞬間”は確実に存在する。

そのために必要なのが、家庭で育てる「在宅避難力」。
ここでは、子どもが家で安全に過ごすために覚えておくべき行動をまとめる。


■① 家の中で“最も安全な場所”を決めておく

地震・強風・突発的な事故…。
子どもがパニックになる前に、まずは「安全地帯」を決めておく。

● 低い家具のそば
● 頭上に物が落ちてこない場所
● 窓・ガラスから離れた位置
● 揺れた瞬間に逃げ込めるスペース

“まずここに行けば安全”という基準が、子どもの迷いをなくす。


■② 停電したら“絶対にしない行動”を教えておく

停電時は、好奇心の強い子ほど危険な行動をしやすい。

● 冷蔵庫を開けっぱなしにしない
● むやみにブレーカーを触らない
● 水道・ガスの元栓に近づかない
● 電気ストーブ・ヒーターは絶対触らない

ダメ行動は短いルールで伝えると覚えやすい。
→「暗い時は何も触らない!」


■③ 簡易トイレ・断水時のルールを“子ども用”にアレンジする

断水が起きると、子どもは困惑しやすい。
親が不在でも使えるように、操作を簡単にしておく。

● 袋式の簡易トイレを見せて使い方を説明
● 水を流さない理由を分かりやすく伝える
● ゴミ箱とは別に“災害用ゴミ箱”を用意
● 子どもでも処理できる手順にしておく

「トイレが使えない」という不安を一つ消すだけで、心の安定が大きく変わる。


■④ 子ども用の防災リュックを“取りやすい場所”に置く

防災リュックを用意していても
見えない場所・重い場所に置くと、子どもは絶対使えない。

● 子どもの身長で届く高さ
● 子どもが開けやすい形状
● 水・軽食・ライト・連絡カードだけに絞る
● 毎月1回、中身を子どもと一緒に確認

“自分で持ち出せる”ことが最大の防災。


■⑤ 家族連絡カードは“子ども基準”で作り直す

大人が使う情報は、子どもには多すぎて覚えられない。

● 連絡先は3つまで
● 「帰る場所」を1つ決める
● フリガナ付き
● 写真をつけるとより安心

子どもの防災は、「情報を減らす」ほうが圧倒的にうまくいく。


■⑥ 避難所まで“実際に歩いて練習”しておく

地図が読めなくても問題ない。
一度歩いておくことで、子どもは避難経路を“景色で記憶”する。

● 横断歩道の場所
● 危険ポイント(塀・ガラス・用水路)
● 避難所の入り口
● 雨の日に同じルートで歩く練習

避難は知識ではなく「体の記憶」が最強の武器になる。


■⑦ 留守番中に災害が起きたら“やることリスト”を渡しておく

子どもは複数の判断を同時にするのが苦手。
だから指示を最小化する。

● ① 揺れたら安全地帯へ
● ② 落ち着いたら連絡カードを見る
● ③ 防災リュックを持つ
● ④ 家を出て避難所へ行く(必要なら)

短く・順番通り・シンプルが命を守る。


■⑧ 在宅避難の“快適さ”を知っておくと子どもは強い

避難所は大人でもストレスが強い。
だから在宅避難の力を持つことが、子どもの心の安定につながる。

● 自宅で温かく過ごす
● 自宅で食事ができる
● 自宅で排泄できる
● 自宅で眠れる

子どもは「家にいられる」だけでストレスが激減する。


■まとめ|子どもは“準備された環境”でしか災害に強くなれない

大人は経験で判断できても、子どもは経験がない。
だからこそ家庭で「環境」「習慣」「位置づけ」を整えておく必要がある。

● 安全地帯を決める
● 停電時ルールを作る
● 子ども用防災リュック
● 実際に避難ルートを歩く
● やることリストを渡す

在宅避難力は、親の準備でいくらでも伸ばせる。
今日から1つずつ家庭に取り入れておけば、必ず子どもは“災害に強い子”になる。

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