【元消防職員・防災士が解説】子どもを“避難所で守る”ための実践ガイド|小さな不安を消すだけで生存率は大きく変わる

避難所生活は、大人でもストレスが大きい。
まして子どもにとっては、普段とは違う環境・音・匂い・人間関係が強い負担になる。

だからこそ、避難所での“子どもを守る視点”は必須。
ここでは、避難所で子どもを安全に、そして安心して過ごさせるためのポイントをまとめる。


■① 子どもの“プライベート空間”を必ず確保する

避難所で最初に困るのが「自分の場所がない」という不安。
子どもは大人以上にプライバシーの喪失に弱い。

● レジャーシートで区画を決める
● 仕切りポールや段ボールで簡易スペースを作る
● 上着・タオルを“壁替わり”に利用
● お気に入りの毛布やクッションがあると安心

「ここがあなたの場所だよ」と示すだけで、子どもの落ち着きは劇的に変わる。


■② 子ども専用の“避難所ルール”を作っておく

避難所は共同生活。
子どもがトラブルにならないためには、事前の“家ルール”が欠かせない。

● 走らない
● 大声を出さない
● 食べ物のゴミを必ず袋へ
● トイレは大人と一緒に行く
● 夜は静かにする

避難所のルールを「子どもサイズ」に変換しておくのがコツ。


■③ 避難所の危険ポイントを“子どもと一緒に”確認する

避難所は安全なようで、実は子どもにとって危険箇所が多い。

● ステージ・段差
● 発電機エリア
● 倒れかけた什器
● 体育館の器具室
● 外のブロック塀やガラス

最初の10分で「行っていい場所・ダメな場所」を確認することが命を守る。


■④ 子どものストレスサインを見逃さない

避難所ではいつもより敏感になり、普段しない表情・行動が出ることがある。

● トイレへ行きたがらない
● 眠りが浅い
● 急に甘えてくる
● ご飯を食べられない
● 些細なことで泣く・怒る

これは異常ではなく“正常な反応”。
大人が気づいて安心させてあげることが心のケアになる。


■⑤ 子どもに合った“避難所アイテム”は最低限で良い

避難所に大量の荷物を持ち込む必要はない。
“子どもが安心する物”だけあれば十分。

● いつものお菓子
● 水筒(常温)
● 絵本・カードゲーム
● お気に入りのぬいぐるみ
● 子ども用毛布

「いつも通り」を少しだけ持ってきてあげると、不安が一気に和らぐ。


■⑥ 避難所で子どもが“退屈しない工夫”を準備しておく

災害では“待ち時間”が非常に長い。
退屈はケンカ・泣き・パニックの元になる。

● 塗り絵
● トランプ
● 折り紙
● 簡単なお手伝い(お水配り、ゴミ集め)
● 子ども同士の交流スペースを利用

身体が動いて、役割を持つと、子どもは安心して落ち着く。


■⑦ 夜の避難所は“特に危険”。親子で行動するのが基本

夜は視界が悪く、トラブルや事故が増える時間帯。

● 子どもだけでトイレに行かせない
● 懐中電灯を必ず持たせる
● 人の動きが少ない場所に近づかない
● 寝床の近くに靴を置く

“夜は大人と一緒”というルールは絶対。


■⑧ 子どもと一緒に“避難所の役割”を担うと安心が生まれる

避難所に来ると、大人も子どもも“受け身”になりがち。
しかし、役割があると一気に心が安定する。

● ゴミの分別
● 水の補充
● 小さな子のお世話
● 掃除の手伝い

「自分も助けてる側だ」という感覚は、子どものレジリエンス(回復力)を高める。


■⑨ 親が疲れすぎないことが、子どもの防災の一番の土台

避難所での最大の危険は“親の心が折れること”。
親のパワーが下がると、子どもは必ず不安定になる。

● 睡眠をとる
● 周囲と協力する
● 抱え込まない
● 食事をしっかり摂る

親の余裕は、子どもの安心そのもの。


■まとめ|避難所で子どもを守るのは“準備”と“観察”

避難所は安全でも快適でもない。
だからこそ、子どもに必要なのは次の3つ。

● 自分の場所があること
● 危険から距離を取ること
● 親が落ち着いていること

たったこれだけで、避難所生活のストレスは大幅に減る。
子どもは環境の影響を強く受ける生き物。
避難所に入るその前から、家庭でできる準備は山ほどある。

親の一つの工夫が、子どもの心と命を守る力になる。

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