子どもは大人より環境に敏感で、災害時には恐怖や混乱が強く出やすい。
しかし、日頃の声かけと小さな習慣だけで、子どもの防災ストレスは大幅に減らせる。
ここでは、子どもの心を守る“メンタル防災”を家庭で実践できる形でまとめる。
■① 「正しい怖がり方」を教えるのが防災教育の基本
子どもが災害を怖がるのは正常な反応。
大切なのは“必要以上に怖がらせないこと”。
● 「怖い=逃げる合図だよ」と伝える
● 「地震は長くても1分で終わるよ」と時間の目安を伝える
● 「逃げれば大丈夫」と“できる対策”にフォーカス
● ニュース映像は必要最小限にする
恐怖は消せないが、“扱い方”は教えられる。
■② 災害時の行動をシンプルな“3つの言葉”で教える
子どもほど、行動はシンプルに伝えるほど動きやすい。
● 地震:しゃがむ → 頭を守る → 離れる
● 火災:大声 → 逃げる → ふさがない(煙を吸わない)
● 豪雨:川に近づかない → 低い場所に行かない → 早く帰る
細かい説明はいらない。“3ステップ”で覚えれば命は守れる。
■③ 避難訓練は「ゲーム感覚」でやると定着する
堅苦しい防災教育は子どもに刺さらない。
遊びに変えると、記憶に残る。
● 30秒以内に頭を守れる場所に移動するゲーム
● 停電ごっこでライト・ラジオを探す練習
● 家の中の“危険探しゲーム”
● 避難リュック詰め替えチャレンジ
「やってみる体験」がもっとも効果的な防災教育。
■④ 災害時の“親の声”が子どもの落ち着きを左右する
子どもは親の表情・声の調子を敏感に察知する。
災害時は次の3つを意識するだけで、子どもの不安は大きく減る。
● 声を低めに、ゆっくり
● 「大丈夫、今こうするよ」と行動を言葉にする
● 「一緒にいるから安心して」と短い安心ワードを入れる
親が落ち着く=子どものパニックを止める最大の方法。
■⑤ 子どもの年齢別「心の防災」のポイント
年齢によって理解の仕方は違う。
● 幼児:短く・わかりやすく。絵本や遊びが効果的
● 小学生低学年:行動を“決める”形で教える
● 小学生高学年:理由付きで説明すると納得しやすい
● 中学生:自分の役割を与えると動きがよくなる
● 高校生:情報収集と判断力を育てるステージ
年齢に合わせて伝え方を変えると、理解度が一気に上がる。
■⑥ 「避難=怖いこと」ではなく「生き延びる力」と伝える
避難行動をネガティブに捉えると、災害時に動けなくなる。
● 「避難は逃げることじゃなく、生きるための強い行動」
● 「早く逃げた人が助かるんだよ」
● 「あなたは家族を守れる存在だよ」と自信を持たせる
避難の心理ハードルを下げることが命を守る。
■⑦ 子ども自身が“選べる行動”を持つと強くなる
「こうしなさい」だけでは動けない。
自分で選べると、災害時の主体性が生まれる。
● 避難バッグに入れるアイテムを子ども自身に決めさせる
● 逃げるルートを親子で話し合う
● 災害時の“役割”を決める(ライト係、水係など)
主体性はそのまま心の強さにつながる。
■⑧ 子ども同士の助け合いが命をつなぐ
災害時、子どもは“子ども同士で助け合う場面”が必ず出てくる。
● 低学年の手を引く
● 怪我をした友だちを大人に知らせる
● 危険な方向に行かせない
● ホイッスルで周囲に知らせる
小さな連携が、大きな命綱になる。
■⑨ 災害後のメンタルケアの基本も知っておく
災害後、子どもは数日〜数週間「心の揺れ」が起きやすい。
● 夜泣き・不安・食欲低下
● 過度な甘え
● 災害の話を繰り返す
● 音に敏感になる
これは自然な反応。
否定せず、受け止めて寄り添うことで落ち着きを取り戻す。
■⑩ まとめ|子どもの心を守るのは“日常の5分”で十分
特別な教材やレッスンは必要ない。
日常で少しだけ“災害の話”をするだけで、子どもは強くなる。
大切なのは次の3つ。
● 正しく怖がる
● 行動をシンプルにする
● 親が落ち着いて導く
災害は突然だが、防災の心は今日から育てられる。

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