乳幼児がいる家庭は、災害時に必要な対策が大きく変わる。
理由はシンプルで「赤ちゃんは自力で生き延びる力がない」からだ。
だからこそ、親の準備と判断が“そのまま命を守る行動”になる。
ここでは、0〜3歳の子どもを持つ家庭が必ず知っておきたい防災ポイントをまとめる。
■① 抱っこで避難する家庭の“最優先装備”
赤ちゃんを連れての避難は、荷物よりもまず“両手の自由”が命を守る。
● 抱っこ紐(前抱き・おんぶの2WAY)
● ウエストポーチに必要最小限の荷物
● ベビーカーは基本NG(段差・瓦礫・水害で動かない)
避難は「早く・軽く・両手を空ける」が鉄則。
■② ミルク問題は“断水”を前提に考える
災害時は水がない可能性が高い。
乳児の家庭で最も困るのが「ミルクの調乳」。
● 液体ミルクを必ず備える(最強の災害食)
● 哺乳瓶は使い捨てタイプを準備
● お湯が沸かせない状況を想定(カセットコンロ必須)
● 水害・断水で水の確保が最優先になる
液体ミルクがあるだけで、赤ちゃんの命のリスクは大幅に減る。
■③ おむつ問題は“多めに+節約術”で乗り切る
避難所ではおむつが不足しやすい。
最低3日分を目安に、以下の工夫で乗り切る。
● おむつは1日8〜10枚 × 3日分
● 使用済みおむつは防臭袋に入れる
● 汚れが少ない時は“おしりふき節約術”を使う
● おむつ替えスペースがなくても、バスタオル一枚で代用可能
衛生管理を徹底することで、赤ちゃんの体調悪化を防げる。
■④ 離乳食は“常温で食べられるもの”が最優先
調理できない状況を前提にした方が良い。
● パウチ離乳食(開けてそのまま食べられる)
● 食べ慣れたものを入れておく
● スプーンは使い捨てタイプ
● 水分補給用に赤ちゃん用麦茶
普段食べないものは災害時に食べてくれない。
“食べ慣れた味”こそ最強の防災食。
■⑤ 赤ちゃんの睡眠確保は“安全なスペース作り”がすべて
避難所で特に困るのが、乳幼児の睡眠とスペース確保。
● レジャーシート+バスタオルで小さな専用空間を作る
● まわりの荷物で軽い壁を作り、踏まれる事故を防ぐ
● 大人用毛布は重いのでNG。必ず軽いブランケットを用意
赤ちゃんは寝不足になると体調を崩すため「寝る環境」は最優先。
■⑥ 災害時の“泣き声問題”を気にしすぎない
避難所では「泣き声が迷惑かも…」と親が追い詰められやすい。
しかし、泣くのは赤ちゃんの正常な反応。
● 泣くのは当たり前と割り切る
● 声が響きにくい場所を選ぶ
● 音をやわらげるタオルを周辺に置く
● 周囲に一言「すみません、落ち着くまで少しお待ちください」と伝えるだけで雰囲気が変わる
親が追い詰められないことが、赤ちゃんの安心につながる。
■⑦ 対応できる“大人の数”が赤ちゃんの安全性を左右する
赤ちゃん1人に対して、大人1人では限界が早く来る。
● 親+祖父母など、サポートできる大人を日頃から決めておく
● 避難時の役割分担(荷物係・抱っこ係・情報収集係)
● 災害時に頼れる近所の人を把握しておく
“助けてもらう相手を決めておく”のも立派な防災準備。
■⑧ 夜間の避難は「最速」で動くのが命を守る
乳幼児連れの夜間避難は危険が大きい。
● 暗闇では歩行者・ベビーカーは見えにくい
● 抱っこ中の転倒リスクが高まる
● 雨・風の影響を子どもが直に受ける
だからこそ、避難は“迷う前に動く”。
判断の早さが赤ちゃんの安全を決める。
■⑨ 災害後は“子どもの小さなサイン”を見逃さない
乳幼児は災害ストレスが体調に直結する。
● 下痢・便秘
● 食欲不振
● 夜泣きの増加
● 甘えが強くなる
これらは普通の反応。
安心できる環境を作れば、自然と落ち着いていく。
■⑩ まとめ|乳幼児の防災は「準備の量」が命を守る
赤ちゃんは自力で生き延びられない。
だからこそ、親が準備しておくことで“リスクの9割は減らせる”。
重要なのはこの3つ。
● 液体ミルク・おむつ・抱っこ紐
● 睡眠スペースの確保
● 夜間避難は迷わず早めに行動
「守れる準備」をしておくことが、赤ちゃんの最大の防災になる。

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