【元消防職員・防災士が解説】災害時に“子どもを守る家庭”が必ずやっている10の備え|幼児〜小学生向け実践ガイド

災害時、子どもは大人以上に弱い立場に置かれる。
怖がる、動けない、判断できない。
だからこそ、家庭の準備と“事前の教育”が子どもの命を守る。

ここでは、幼児〜小学生の子どもを守るために、家庭が必ず備えておきたい防災ポイントをまとめる。


■① 子どもに「災害を正しく教える」ことが最強の防災教育

怖がらせるのではなく、“行動の理由”を伝える。

● 地震はどうして起こるのか
● なぜ逃げるのか
● 家庭の避難ルール
● 火事が起きたら、煙は下にたまる理由
● 水害は“足元から死ぬ”危険があること

知識は子どもの行動を早くする。
“正しく知る”ことが命を守る第一歩。


■② 家族の避難ルールを「子どもが理解できる形」で決める

子どもは曖昧な指示では動けない。
だから家庭ルールは、具体的にしておく。

● 地震 → テーブルの下 → 揺れが止まったら靴を履く
● 火災 → 大声で知らせる → 下を向いて逃げる
● 水害 → 先に高い階へ避難 → 親と合流する場所
● 夜間 → ライトはここ → 靴はここ

“何をするか”を一つずつ教えておくことで、パニックを防げる。


■③ 子ども自身が使える防災アイテムを準備しておく

大人が不在の時に備えて、子ども専用の防災セットを作っておく。

● 小型ライト(子どもが押しやすいスイッチ)
● ホイッスル(助けを呼ぶため)
● 名前と住所を書いたカード
● 小袋のお菓子
● ミニ水筒
● ティッシュ・ばんそうこう

“自分で使える装備”が、子どもの不安を和らげる。


■④ 学校・保育園の防災体制を必ずチェックする

災害時、子どもが家にいない可能性が高い。
親が把握しておくべきは次のポイント。

● 引き渡し方法
● 荒天時の預かり基準
● 水害時の避難先の階数
● 校舎の耐震基準
● 非常食・水の備蓄量
● 夜間・休日の連絡体制

家では完璧でも、学校が弱ければリスクは下がらない。


■⑤ 子どもの“恐怖心ケア”は大人の役割

子どもは災害後、不安定になりやすい。

● 夜泣きの増加
● 強い甘え
● 食欲のムラ
● 強いこわばり
● 音に敏感になる

「大丈夫だよ」「一緒にいるよ」と、安心を繰り返し伝えるだけで回復が早くなる。
子どもの心は、大人の態度で安定する。


■⑥ 子どもと実際に“避難行動の練習”をしておく

頭でわかっても、身体が動かなければ意味がない。

● 家の中での避難ルートを一緒に歩く
● 高台まで実際に歩かせておく
● 夜にライトを持って歩く訓練
● ホイッスルを吹く練習

訓練しておくと、いざという時に迷わない。


■⑦ 乳児・幼児は“抱っこで避難”が基本

小さな子どもは走れない。
避難のスピードは抱っこ紐で決まる。

● 片手抱っこは危険
● 両手が空く抱っこ紐を必ず準備
● 2WAY(前・おんぶ)は災害時に便利
● 長距離避難は靴を履かせる

抱っこ紐は“命を運ぶ装備”。
家と車の2カ所に常備しておくのが安全。


■⑧ 子ども用の食事は“食べ慣れた味”を必ず用意する

避難所では、子どもは食べない。
これはよくある話。

● 普段食べているパン
● 小さなゼリー
● スティックビスケット
● 甘すぎないお菓子
● 常温保存できるパウチご飯

“初めての食べ物”は災害時は拒否されやすい。
食べ慣れた味が最強。


■⑨ 災害時の“迷子問題”は必ず準備しておく

災害時は大人でも混乱する。
子どもが迷子になるケースは多い。

● 服の内側に名前カード
● 連絡先を覚えてもらう
●「ここで待つ」場所を家族で統一
● ホイッスルを首から下げる

迷子対策だけで、子どもの安全性は格段に上がる。


■⑩ まとめ|子どもを守るのは“モノ”ではなく“準備と行動”

子どもを守るために大切なのは、次の3つ。

● 子どもにわかる言葉で防災を教える
● 家族ルールを明確にしておく
● 練習をして“身体で覚える”

子どもは大人の行動を見て動く。
だからこそ、家庭全体が防災意識を持つことで、子どもの命は守れる。

“今日の準備が、明日の安全につながる。”

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