【元消防職員・防災士が解説】新入社員が“知らないまま働いている”と危険な職場リスク|企業が絶対に教えるべき防災基礎

多くの新入社員は、ビジネスマナーや業務手順は学んでいても、
「職場で命を守るための知識」を学ぶ機会はほとんどない。

しかし日本は地震・火災・水害が多く、職場は“災害の被害を受けやすい場所”。
防災知識の差は、そのまま生存率の差につながる。

ここでは、新入社員に必ず身につけてほしい“働く人のための防災基礎”をまとめる。


■① オフィスは安全そうに見えて“危険だらけ”

職場には家庭よりも多くの危険が潜んでいる。

● キャビネット転倒
● ガラスの飛散
● コピー機・複合機の移動
● サーバー・ラックの転倒
● パソコンの落下
● 非常口の塞がり

災害時にケガをする多くが“固定されていない備品”によるもの。
新入社員ほど座席や動線の危険に気づきにくいため、最初の教育が重要。


■② “揺れた瞬間”に取る行動は、訓練しないと絶対にできない

地震時の正しい初動はこれだけ。

● 机の下に入る(丈夫なデスクへ)
● コピー機・窓から離れる
● スマホは後回し
● エレベーターを絶対に使わない

新人は「周りが動くまで様子を見る」ことが多く、致命的に遅れる。
“自分の命は自分で守る”行動力を教えることが企業の責任。


■③ 火災時は「発見→知らせる→119→初期消火→避難」の順

職場火災は電気系統・OA機器が原因となることが多い。

● 火を見たら大声で周囲に知らせる
● 119通報の手順を全員が知っておく
● 初期消火は天井に火が届く前まで
● 無理だと思ったらすぐ避難

新入社員は「消火器の使い方を知らない」「119番の言い方がわからない」という状態が多い。
ここは最優先で教育すべき部分。


■④ 水害時の危険性は火災以上|地下施設は“秒で”危険区域に

オフィスビルは地下に機械室・倉庫が多く、浸水時に命の危険がある。

● 地下への降り口は一瞬で冠水する
● 電源設備の水没は大停電につながる
● 車両も地下駐車場は最も危険
● “雨量”ではなく“水位”を見る習慣を持つ

新入社員は水害の怖さを知らないことが多く、避難が遅れやすい。
水害の基礎知識は必須。


■⑤ “避難ルート”は最低2つ。実際に歩いて覚えるのが鉄則

避難経路を“頭で理解しているだけ”では動けない。

● 非常階段Aルート
● 非常階段Bルート(塞がる可能性を考慮)
● 夜間・停電時のルート確認
● 喫煙所・休憩室からの最短ルート

新人は建物の構造を理解していないため、重要な避難スキルが不足しがち。
実際に歩く訓練こそが命を守る。


■⑥ 会社の“防災ルール”を知らないと行動が遅れる

新入社員は次のルールを明確に知っておくべき。

● 出社中の災害時:避難指示が出たら即行動
● 通勤中の災害:まず自分の安全確保
● 在宅勤務中:連絡手段・報告方法
● 上司が不在の場合の判断基準

曖昧なルールは混乱を生む。
ここを明確にするだけで職場の防災力は一気に上がる。


■⑦ スマホを“防災デバイス”として活用できるかが生死を分ける

新入社員はスマホ操作に強いが、防災設定まではしていない。

● 気象庁アプリ・防災速報
● オフライン地図
● モバイルバッテリー常備
● 連絡先の優先順位
● テザリングで同僚PCを救う方法

“スマホの防災スキル”は職場全体を救う。


■⑧ 新入社員が災害時に抱えやすい不安と対処法

新人は次の心理で動けなくなることが多い。

● 「勝手に避難していいの?」
● 「上司がいないから分からない」
● 「周囲が動いていないと動けない」
● 「判断を間違えたらどうしよう」

これらは“正常性バイアス”の典型。
知識と訓練でしか克服できない。


■⑨ まとめ|新入社員の防災教育は、企業のリスクを激減させる

企業が新入社員に教えるべき防災基礎は次の3つ。

● 災害初動を迷わず判断できる
● オフィス特有の危険性を知っている
● 避難・連絡のルールを理解している

災害に強い新入社員は、企業にとって“最大のリスクヘッジ”。
安全知識は仕事の基本スキルとして、必ず早期に身につけておきたい。

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