BCP(事業継続計画)は経営層だけのもの——
そう思っている企業は、災害時に大きく損失を出す。
実際に災害で会社を守るのは、
「その場にいる社員」の判断と行動。
特に現場に最も多くいる“新入社員の防災理解”が弱い企業は、被害が拡大しやすい。
ここでは、新入社員でも今日から理解できる「BCPの基礎」をまとめる。
■① BCPの本質は“命→仕事”の順で守ること
BCPは難しい計画ではなく、次の優先順位を明確にするだけ。
● ① 社員の命を守る
● ② 顧客・社会への影響を最小化
● ③ ③ 会社を継続させる
命を守れなければ事業継続も存在しない。
特に新入社員には「災害時はまず命優先」という価値観を徹底して伝える必要がある。
■② 新入社員が知っておくべき“会社の止めてはいけない業務”
企業には「止まると致命的になる仕事」が必ずある。
たとえば…
● 受注・出荷関連(小売・製造)
● 医療・介護のライフライン対応
● 顧客サポート(インフラ・通信)
● データ保全(IT・金融)
新入社員は重要度の違いを知らないまま仕事をすることが多いため、
企業が“最優先業務”を明確に共有することが、防災力を高める第一歩。
■③ 災害発生時の“行動基準”を全員が覚えておく
BCPが機能しない企業の共通点は「行動がバラバラ」。
新人でも覚えられる判断基準はこれだけ。
● 建物が危険 → まず避難
● 夜間・休日の災害 → 出社せず安全確保
● 指示系統が途切れた → 各自で避難優先
● エレベーターは絶対に使わない
● オフィスに戻るのは消防・行政の許可後
“待つ”ではなく“動く”基準が会社を守る。
■④ 在宅勤務者もBCPの一員|自宅防災は企業責任の一部
テレワークが普及した今、
「会社にいないから関係ない」は完全に間違い。
在宅勤務中の社員が被災すると…
● 連絡不能
● データ作業の停止
● 顧客対応の中断
企業としての機能が止まってしまう。
だからこそ在宅社員も以下を整える必要がある。
● モバイルバッテリー
● 非常用食料・水
● スマホの防災アプリ
● オフラインでも作業できる体制
在宅防災は企業のBCPそのもの。
■⑤ 会社の“代替拠点”や“作業方法”を知っておく
災害時はオフィスが使えなくなる可能性がある。
そんな時に必要なのは次の3つ。
● バックアップ拠点(別オフィス)
● 在宅でできる作業
● 印刷不要の業務フロー
新入社員がこれを理解しているだけで、会社は驚くほど強くなる。
■⑥ 安否確認のルールは“秒で”返すことが命と会社を守る
災害時、企業が最優先で知りたいのは「社員の無事」。
しかし現実は…
● 新入社員ほど返信が遅い
● そもそも安否システムの使い方を知らない
● 「既読だけで安心」して返信しない
これは企業リスクとして致命的。
安否確認は次のポイントを徹底。
● 30秒以内に返信
● 文面は簡潔(無事・負傷・家族状況)
● 圏外ならSMS・電話・Wi-Fiで補完
安否情報が揃うほど、会社の動きが早くなる。
■⑦ ITとデータの守り方は新人でも学べる“最強のBCP”
企業の資産は「人命」と「データ」。
新人でも必ず覚えておくべきはこれ。
● USB・外付けHDDの禁止(紛失・浸水のリスク)
● クラウド保存の徹底
● パスワード・二段階認証の設定
● PCを床に置かない(浸水・落下防止)
● 停電時のシャットダウン手順
災害で最も失われやすいのはデータ。
新人が守れると、会社は一気に強くなる。
■⑧ 災害時の“心理崩壊”をどう防ぐか
災害で最も多い失敗は「パニックによる判断ミス」。
新人は特にこれが起きやすい。
● 上司がいない
● 指示が出ない
● 周囲が不安になる
● SNSのデマを見る
この時に必要なのは“平常時の知識”。
● 正常性バイアスを知る
● 最悪シナリオを理解しておく
● 自分の役割を決めておく
知識はパニックを防ぐ最大の武器。
■⑨ 新入社員が知っておくべき“帰宅困難”の現実
地震や大規模停電時は帰宅が不可能になる。
新人がやりがちなのは…
● 無理に帰ろうとする
● エレベーターに乗る
● 飲み物・食料を持たない
● 通勤経路の地図がない
企業は新人に“帰らない勇気”を伝える必要がある。
■⑩ まとめ|BCPは“会社を守る技術”であり、社員を守る仕組み
新入社員が理解すべきポイントは次の3つ。
● 命を守る行動が最優先
● 停止してはいけない業務を知る
● 安否・避難・情報のルールを覚える
BCPは経営層だけのものではなく、
“現場の行動力”で守られる。
新入社員の防災理解が深まれば、
会社全体の防災レベルは確実に上がる。

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