【元消防職員・防災士が解説】小学生に教える“避難所での過ごし方”親子でできる防災教育

災害が起これば、学校・自宅が使えず「避難所生活」になる可能性がある。
大人でもストレスを抱える避難所で、小学生が安心して過ごすためには“事前の教育”が欠かせない。

ここでは、小学生が避難所で迷わず行動できるように、家庭で教えておきたいポイントを整理する。


■① 避難所は“安全を確保する場所”であると伝える

小学生は「知らない場所」に強い不安を感じる。
まずは避難所をポジティブに捉えられるようにする。

● 避難所=危険から身を守る場所
● 学校の体育館・公民館などが使われる
● 地域の人たちが助け合う空間

「避難所はこわい場所じゃないよ」と伝えておくことが心の安定につながる。


■② “入口・トイレ・受付”の位置をすぐ把握できるように教える

避難所では、まず動線の把握が大切。
到着してすぐにチェックする癖をつけるだけで安全性が大きく上がる。

● 受付で名前を書いて家族状況を伝える
● トイレの場所を確認
● 出入口・非常口を確認
● 危険な場所(ガラス周り・機材周辺)を避ける

一緒に避難所マップを見るなどして“確認する習慣”を作っておくと行動が安定する。


■③ 避難所では“走らない・大声を出さない”を徹底する

避難所は多くの人が集まる場所。
小学生には、次の3つを事前に家庭で約束しておくとトラブルが減る。

● 走らない
● 大声を出さない
● 他の人のスペースに入らない

避難所はプライバシーが極端に少ない環境なので、周囲への配慮を先に教えておくことが重要。


■④ 自分の“居場所”を大切にすることを教える

避難所では、家族のスペースはほんの数畳。
子どもには「自分の場所を整える力」を育てるとストレスが少なくなる。

● 荷物をまとめる
● 貴重品を一箇所にする
● 夜用ライトを決める
● 寝る場所を家族と確認

“自分のミニ生活スペースをつくる”という意識が、避難生活の安心感につながる。


■⑤ トイレのルールは避難所生活の重要ポイント

避難所のトイレは、子どもが最もストレスを感じやすい場所。
事前に次のことを教えておくとスムーズ。

● 行ける時に行く(我慢しない)
● 夜間は大人と一緒に行く
● 非常用トイレが使われる場合がある
● 水が出ないこともある

特に“夜に1人で行かせないこと”は徹底したい。


■⑥ 避難所のルール・役割を理解するだけで行動が安定する

避難所は自治的に運営されるため、一定のルールがある。

● ゴミの分別
● 配給の受け取り順
● 静かに過ごす時間帯
● 高齢者・乳幼児優先の場面

小学生でも「助け合いの場所」という意識を持てると、周囲への配慮が自然とできるようになる。


■⑦ 遊びと学びのバランスを整える工夫を教えておく

避難所では“子どもの時間”が有効に使えるかが大きな課題。

● 折り紙・カード・小さな塗り絵
● イヤホン付きで動画を観る
● 勉強セットを小さくまとめておく

“静かにできる遊び”を持たせておくと、避難生活の質が大幅に上がる。


■⑧ 子どものメンタルケアは親の言葉で左右される

避難所では、大人の不安は子どもに全て伝わる。
次の声かけだけで、子どもは安心する。

● 「一緒にいるから大丈夫」
● 「ここは安全な場所だよ」
● 「分からないことはいつでも聞いていいよ」

シンプルな言葉ほど効果がある。


■まとめ|避難所生活は“事前教育の差”で子どもの安心が決まる

小学生には、避難所の過ごし方を事前に教えておくことが重要。

● 避難所=安全な場所
● 入口・トイレ・出口を把握する
● 走らない・騒がない・他人のスペースに入らない
● 自分の居場所を整える
● トイレや夜間行動のルールを共有
● 静かにできる遊びを準備
● 親の声かけで安心感が決まる

避難所での行動が安定すると、子どものストレスは大きく減り、家族全体の避難生活がスムーズになる。
家庭での防災教育が、子どもの心と命を守る力になる。

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