夏に地震が起きて避難所生活になると、着替えは「あると安心」ではなく、体力と気持ちを守る実用品になります。暑さ、汗、湿気、断水、におい、夜の汗冷えが重なると、同じ服を着続けるだけでかなり消耗しやすくなるからです。厚生労働省の避難所健康管理ガイドラインでも、夏服の確保と適切な衣類への着替えは大切だと示されています。
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000805637.pdf
だからこそ大切なのは、「何枚あれば完璧か」を考えることではなく、「汗をかいたあとに最低1回は立て直せるか」を基準に考えることです。この記事では、夏の地震で避難所にいる時の着替えの量を、家庭で判断しやすい形で整理して解説します。
■① 最初に考えるべきことは「たくさん持つ」ではなく「何を替えると楽になるか」
結論から言うと、最初に考えるべきことは、服を何枚持つかより、どの部分を替えれば一気に楽になるかです。
夏の避難所では、汗でつらくなりやすいのは、Tシャツ、下着、靴下です。上着やズボンより先に、この3つが不快感に直結しやすいです。被災地でも、全部を着替えられなくても、肌に近い物を替えられるだけでかなり持ち方が違いました。
元消防職員として感じるのは、避難所で崩れやすいのは「物が足りないこと」そのものより、「汗を切り替えられないこと」です。だから、夏の着替えは全身セットを何組も持つより、優先順位をつけた方が現実的です。
■② 夏の避難所で基本にしたい着替え量は何か
基本として考えやすいのは、今着ている服とは別に、下着・Tシャツ・靴下を1組です。
これがあると、汗をかいたあとに1回は立て直せます。さらに余裕があれば、もう1組あると安心感は上がります。ただし、持ち出し袋は重すぎると避難そのものがしんどくなるため、枚数を増やしすぎるより、乾きやすく軽い物を選ぶ方が実用的です。東京都防災ホームページでも、非常用持ち出し袋は当面必要な最小限の品を入れ、実際に持ち歩ける重さに調整することが大切だと案内しています。
https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/_res/common/2023_bk/kb/kb2023_022_089.pdf
私なら、夏の避難所向けには「全部2セット」ではなく、「肌に近い物を1〜2セット」と考えます。その方が荷物としても崩れにくいです。
■③ 何を優先して替えるべきか
優先順位をつけるなら、下着、Tシャツ、靴下の順で考えやすいです。
下着は不快感と衛生に直結します。Tシャツは汗のべたつきと体温調整に関わります。靴下は、歩いたあとの蒸れや足の不快感をかなり左右します。逆に、ズボンや羽織りは毎回全部を替えなくても、工夫次第で回しやすいです。
被災地でも、まず替えたいのは「肌に張りつく物」でした。だから、着替えの量で迷ったら、上から見える服より、肌に近い物を厚めに持つ方が実用的です。
■④ 着替えを増やしすぎると何が起きやすいか
一番起きやすいのは、重くなって持ち出しにくくなることです。
避難所向けの持ち出し袋は、移動中に自分で運べることが前提になります。東京都の防災資料でも、非常用持ち出し袋は最小限にして、家に置く備蓄と分ける考え方が示されています。
https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/_res/common/2023_bk/kb/kb2023_022_089.pdf
つまり、夏の着替えは「たくさん入れるほど安心」ではありません。持てる重さで、最も効果が高い物を選ぶ方が、防災としては強いです。
■⑤ 乾きやすい服を選ぶべきか
はい。夏の避難所では、乾きやすさはかなり重要です。
厚手の綿だけでそろえるより、吸汗速乾タイプや薄手で軽い素材の方が回しやすいです。洗えなくても汗が抜けやすく、少し干した時にも乾きやすいからです。厚生労働省の熱中症予防ページでも、通気性がよく吸湿性・速乾性のある衣服が勧められています。
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/prevent.html
私なら、夏の避難所向けの着替えは「普段着の予備」より「乾きやすい予備」を選びます。被災地でも、1枚を長く回せるかどうかはかなり大きな差になっていました。
■⑥ 子どもは大人と同じ枚数でいいのか
子どもは、大人より少し多めに見る方が安心です。
汗をかきやすい、飲み物をこぼす、遊んで汚れる、寝汗が多い、といったことが起きやすいからです。特に下着、Tシャツ、靴下は1組では足りないことがあります。被災地でも、子どもは「着替えの回数」が大人より多くなりやすい印象がありました。
つまり、子どもの着替え量は「大人の縮小版」ではなく、「汚れやすさ込み」で考える方が現実的です。
■⑦ 高齢者は何を変えるべきか
高齢者では、枚数よりも着替えやすさと体温調整しやすさが大切です。
汗をかいても替えにくい、冷房で冷えやすい、夜に冷える、失禁や皮膚トラブルがある。こうした条件があると、ただ枚数を増やすだけでは足りません。前開きで着やすい、やわらかい、薄手で乾きやすい、必要に応じて羽織りを足せる、という形の方が実用的です。
元消防職員としては、高齢者の着替えは「何枚あるか」より「本人が無理なく替えられるか」で見た方がよいと感じます。避難所では、替えたいのに替えられないことが一番しんどいからです。
■⑧ 迷った時の判断基準
迷ったら、次の順番で考えてください。
「汗をかいたあとに1回は立て直せるか」
「下着・Tシャツ・靴下が優先できているか」
「乾きやすく軽い物を選べているか」
「子どもや高齢者は別枠で考えられているか」
この4つがそろっていれば、夏の避難所での着替え量としてはかなり現実的です。防災では、完璧な量より「無理なく持てて、確実に効く量」の方が強いです。
■まとめ
夏の地震で避難所にいる時の着替えの量は、「何枚あれば安心か」より「何を替えれば体が楽になるか」で考える方が失敗しにくいです。厚生労働省の避難所健康管理ガイドラインでは、夏服の確保と適切な衣類への着替えが大切だとされており、東京都防災ホームページでも、非常用持ち出し袋は最小限で持ち運べる量に調整するよう案内されています。
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000805637.pdf
https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/_res/common/2023_bk/kb/kb2023_022_089.pdf
私なら、夏の避難所の着替えで一番大事なのは「たくさん持つこと」ではなく「汗を切り替えられること」だと伝えます。被災地でも、全部の服がなくても、下着とTシャツを替えられるだけでかなり持ち方が違いました。だからこそ、まずは下着、Tシャツ、靴下。この3つを優先するのがおすすめです。
出典:https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000805637.pdf(厚生労働省「避難所生活を過ごされる方々の健康管理に関するガイドライン」)

コメント