幼児は災害時に“泣く・叫ぶ・暴れる”という行動が出やすい。
これは悪いことではなく、幼児が感じる恐怖を処理しきれない自然な反応。
しかし、避難中にパニックが続くと危険が増えるため、
家庭で「落ち着くスキル」を育てておくことが災害時の大きな防御力になる。
■① 幼児は“音”でパニックになる
地震の揺れや、家具の落下音、停電の暗闇は幼児に強い恐怖を与える。
特に地震の「ゴゴゴ…ドン!」という音は、大人以上のストレスになる。
だから防災教育の第一歩は、“音に慣れること”。
● 絵本アプリで地震の音を再生する
● 耳をふさぐ練習
● 怖い音が聞こえたら「パパ・ママの手を握る」
“怖いときは手を握る”という行動をセットで覚えさせると、パニックの連鎖が止まる。
■② 幼児は“暗闇”で急激に不安が高まる
停電になると、幼児は一気に情緒が乱れる。
そのため、停電対策=メンタル対策でもある。
● 部屋に“停電ランタンの置き場所”を決める
● 夜の暗い部屋で避難ごっこをする
● 光るリストバンドや蓄光シールを見える場所に
幼児は“光で安心する”。
停電時の光の確保は、実は防災教育の基礎になる。
■③ “安心スイッチ”を作ると、幼児は驚くほど落ち着く
災害時は言葉ではなかなか落ち着かない。
幼児は“反射で安心する仕組み”を作る方が効果が高い。
おすすめは次の3つ。
● ぎゅっと抱きしめる「ハグスイッチ」
● 頭をなでる「なでなでスイッチ」
● 手を合わせる「タッチスイッチ」
普段の生活で「不安→スイッチ」の流れを習慣化しておくと、
災害時にも同じルールで落ち着くようになる。
■④ 泣きすぎて動けない時は“安心ルーティン”が効く
幼児がパニックのピークになると、
泣く → 止まらない → 動けない状態になり避難行動が遅れる。
この状態に最も効果があるのが「ルーティン化」。
● ① パパ・ママの服をつまむ
● ② 深呼吸(ふーっと一緒に)
● ③ 名前を呼んで落ち着く
毎日の生活に組み込み、避難訓練でも同じ流れを使うと幼児は行動が安定する。
■⑤ 幼児は“説明ではなく体験”で覚える
災害を言葉で説明しても理解しにくい。
しかし、体験にすると圧倒的に学習効果が高い。
例:
● 布団にもぐって頭を守る練習
● テーブルの下に入る練習
● 非常持ち出し袋を背負って歩く
● 暗い廊下を手をつないで歩く
幼児は身体で覚える生き物。
避難動作が習慣になれば、パニックになっても“身体が動く”。
■⑥ パニックになる幼児に“やってはいけない”こと
次の対応は逆効果。
●「泣かない!」と言う
● 急かして叱る
● 無理に歩かせる
● 不安を否定する
幼児は不安を受け止めてもらうことで落ち着く。
正解は、
●「大丈夫。パパとママがいる」
●「怖かったね」
この“共感+安心”だけで動きが早く安定する。
■⑦ 避難所では幼児コーナーが命を守る
避難所では幼児が刺激を受けすぎてパニックになる。
● 物音
● 大人の会話
● 照明
● 周囲のざわつき
これらは幼児にとって強いストレス。
避難したらまず、「幼児の拠点」を作ることが大切。
● レジャーシートで囲う
● お気に入りのおもちゃを1つ置く
● 静かな隅の方にスペースを作る
環境を整えるだけでパニックは大幅に減る。
■⑧ 親の表情が“幼児のパニック率”を決める
災害時に幼児が最も見ているのは、“親の顔”。
親が焦る
↓
幼児がもっと不安になる
↓
泣き止まない
この流れは非常に多い。
だから避難行動中のポイントはひとつ。
● 不安でも笑顔を見せる
親の表情が“安心の土台”として最大の効果を持つ。
■まとめ|幼児のパニックは「知識より仕組み」「叱るより習慣」
● 音と暗闇に慣れる
● 安心スイッチを作る
● 抱っこに依存しない密着姿勢
● 落ち着くルーティンの習慣化
● 避難所に幼児スペースを作る
幼児はトレーニングをすれば確実に災害で強くなる。
「怖がる子」ではなく「守れる子」へ変えるのは、
今日から家庭でできる小さな工夫の積み重ね。
災害時に最も大切なのは、幼児の心の安定。
それが避難のスピードを上げ、命を守る力になる。

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