【元消防職員・防災士が解説】自治体職員が身につけるべき“現場判断スキル”|迷わず決断できる人が災害を制する

災害対応で最も難しいのが「現場判断」。
マニュアル通りに動けない状況で、瞬時に正しい決断を下せる人が、地域を守る。

ここでは、自治体職員が必ず身につけておくべき“現場判断スキル”を解説する。


■① 最初に押さえるべきは「命に関わる要素」の優先順位

災害現場では、すべてを同時に対応することは不可能。
まず“命に関わる優先順位”を整理できるかがカギ。

最優先はこの3つ。
● 流域・避難路の危険度
● 高齢者・子どもの安全確保
● 情報伝達の遅延防止

優先順位が決まると、判断が一気に早くなる。


■② マニュアルより“現場の変化”を重視する

マニュアルは重要だが、災害はマニュアル通りに動かない。
自治体職員は、状況が変われば臨機応変に判断を変える必要がある。

● 水位上昇が想定より早い
● 避難所の混雑が予想外
● 雨の強さが急変
● 道路が通行止めになった

こうした“変化”に即応できる職員が、現場では最も頼りになる存在。


■③ 判断に迷ったら“早めの避難誘導”が鉄則

自治体職員が最も避けるべきは「判断が遅れること」。

判断が遅れると、
● 夜間の避難になり、転倒事故が増える
● 道路が冠水し、車が立ち往生
● 高齢者が逃げ遅れる
など、被害が急激に大きくなる。

迷ったら、早めに動いて助かる確率を上げるのがプロの判断。


■④ 信頼できるデータだけを使う|SNSの噂に引きずられない

災害時、SNSには誤情報が多い。

自治体職員が判断材料とすべきは、
● 気象庁
● 国交省水位情報
● 自治体独自の雨量・水位計
● 消防・警察からの現場報告
● 防災カメラ

この“確かなデータ”だけ。
噂ベースで判断すると、避難判断の精度が落ちる。


■⑤ 自分の判断を“説明できるか”が重要

災害現場では、ときに厳しい決断が必要になる。
その時、自分の判断を言語化できるかで、職員としての信頼が決まる。

● なぜ避難指示を出すのか
● なぜこの区域から優先するのか
● なぜ避難所を追加開設するのか

言語化できる判断は、住民・上司・消防との連携もスムーズ。


■⑥ 完璧を求めない|“最善の判断”ではなく“最適な判断”をする

災害対応で完璧な判断は存在しない。
重要なのは、限られた情報の中で“最適解”を出すこと。

● 情報が揃ってから動くのは遅い
● 迷ったら安全サイドに振る
● 想定より悪くなる前提で動く

完璧を追うと、判断が遅れ、結果的に被害が拡大する。


■⑦ 判断後は即行動|決めてから動く人が最も危険

現場判断は「決める→行動→修正」の連続。
判断したら、すぐ動きながら修正していくのが災害の鉄則。

● 避難所を開ける
● 広報車を出す
● 高齢者支援班を動かす
● 河川の巡回を強化する

動けば情報も集まり、次の判断が正確になる。


■⑧ 判断疲れを避ける|判断を分担できる組織が強い

災害時は何度も判断を迫られるため、“判断疲れ”が起きる。

そのために必要なのは、
● 判断を担当する班の明確化
● 副担当の配置
● 交代制(判断の持ち回り)
● 意思決定ラインの一本化

判断を組織で分散させることで、冷静さが保たれる。


■まとめ|判断できる人材が多いほど自治体の防災力は上がる

災害時の現場判断は、地域の命を左右する重要なスキル。

● 優先順位を整理できる
● マニュアルに固執しない
● 迷ったら早めに動く
● 確かなデータだけを使う
● 説明できる判断をする
● 完璧を求めず最適解で動く

これらを身につけた自治体職員が増えるほど、地域の被害は確実に減る。

“判断できる職員”は、災害対応の中核だ。

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