【防災士が解説】災害ボランティアの悪夢続きは危険信号か|睡眠障害が示す深刻な心の傷を見極める判断基準

災害ボランティアから帰ってきたあと、
「寝ても被災地の夢を見る」
「夜中に何度も起きる」
「布団に入るのが怖い」
と感じる人は少なくありません。

結論から言えば、ボランティア後の悪夢が続く時は、単なる疲れではなく、強いストレス反応のサインとして見た方がいいです。
消防庁は、惨事ストレス反応として不眠、悪夢、フラッシュバック、注意力低下などを挙げています。
また、消防庁資料では、強いストレス反応が2日から4週間続くものを急性ストレス障害(ASD)、1か月以上続くものをPTSDと整理しています。 oai_citation:1‡消防庁

防災士として率直に言えば、支援の現場では
「助けに行った側だから、自分は大丈夫」
と思いやすいです。
でも実際は、見た光景、聞いた声、におい、無力感、責任感が、帰宅後に睡眠へ出ることがあります。
元消防職員として被災地派遣やLO対応を経験すると、現場では動けても、帰ってから眠れなくなる人はいます。
だから、悪夢が続く時は軽く見ない方がいいです。

■① まず前提として、支援者にも悪夢や不眠は起こる

災害後のこころの不調というと、被災者側の問題と思われがちです。
でも日本赤十字社は、こころのケアの対象を被災者だけでなく、救護員やボランティアなど支援者側にも広げて考えていることを示しています。 oai_citation:2‡日本赤十字社

消防庁も、災害救援者には強い精神的ショックが起こり得るとし、不眠や悪夢を代表的な反応として挙げています。 oai_citation:3‡消防庁

つまり、災害ボランティア後に悪夢が続くのは珍しいことではありません。
まずは「自分だけおかしい」と決めつけないことが大切です。

■② 悪夢が続く理由①|現場の記憶が睡眠中に処理しきれない

悪夢が続く時は、心がまだ現場を整理しきれていないことがあります。
消防庁資料でも、惨事ストレスでは災害のことが意に反して突然思い出されることや、フラッシュバックのような再体験が起こるとされています。 oai_citation:4‡消防庁

つまり、
・夢の中で現場が出てくる
・似た場面が繰り返される
・目が覚めたあとも気持ちが戻らない
といった反応は、かなり現実的なストレス反応です。

防災士として言えば、これは弱さではなく、脳が非常時の情報をまだ安全に処理しきれていない状態と見た方がいいです。

■③ 悪夢が続く理由②|昼間は抑えている感情が夜に出る

災害支援中は、
・冷静でいようとする
・感情を抑えて動く
・自分の動揺を後回しにする
ことが多いです。

そのため、昼間は平静に見えても、夜になると抑えていた反応が出ることがあります。
元消防職員として率直に言えば、現場でしっかり動けた人ほど、帰宅後に睡眠へ反応が出ることはあります。

つまり、悪夢は「昼は平気だから問題ない」とは言えません。
昼に押さえ込んだものが、夜に出ている可能性があります。

■④ 睡眠障害として注意したいパターン

悪夢だけなら様子見でいい、とは言い切れません。
特に次のような状態が重なるなら、注意した方がいいです。

・寝つけない
・夜中に何度も起きる
・朝早く目が覚める
・夢の内容が災害や被災地に近い
・寝ても休まった感じがしない
・日中の集中力が落ちる
・頭痛や食欲低下もある

消防庁が挙げる反応でも、不眠、悪夢、注意力低下、フラッシュバックはセットで出やすいです。 oai_citation:5‡消防庁

だから、悪夢だけを単独で見るより、睡眠全体が崩れていないかで見た方が現実的です。

■⑤ “どれくらい続くか”がかなり大事

ここはかなり重要です。
消防庁資料では、強いストレス反応が
2日から4週間持続するものがASD、1か月以上持続するものがPTSD
と整理されています。 oai_citation:6‡消防庁

つまり、悪夢や不眠が数日あるだけで即PTSDと決める必要はありません。
ただし、
1か月近く続く
むしろ強くなっている
日常生活に影響している
なら、かなり慎重に見た方がいいです。

防災士として言えば、病名を急いで決めることより、
睡眠が戻る方向にあるか、崩れたままか
を見る方が実用的です。

■⑥ 元消防職員として感じる“危ない睡眠障害”の特徴

現場感覚として危ないのは、
「寝不足だけどまだ動けるから大丈夫」
と考えてしまうことです。

たとえば、
・日中にぼんやりする
・仕事や家事のミスが増える
・人に会うのがしんどい
・イライラが増える
・寝る前になると気持ちが重くなる
こうした変化があるなら、睡眠だけの問題ではない可能性があります。

被災地派遣では、睡眠の乱れが最初のサインになることがあります。
だから、悪夢や不眠を「夜の問題」と切り分けず、日中の変化まで含めて見る方がいいです。

■⑦ 今すぐできる現実的な対処法

悪夢が続く時は、気合いで寝ようとしない方がいいです。

まずやりたいのは、
・寝つき、途中覚醒、夢の内容を簡単に記録する
・寝る前に災害映像やSNSを見すぎない
・飲酒で無理に寝ない
・軽い呼吸法やストレッチで体を落ち着かせる
・信頼できる人に「最近眠れない」と共有する
ことです。

日本赤十字社のこころのケアも、心理社会的支援と必要時の専門支援への橋渡しを重視しています。 oai_citation:7‡日本赤十字社

防災士として言えば、悪夢が続く時に大事なのは「一人で耐える」ではなく、睡眠の崩れを外に出すことです。

■⑧ 相談した方がいい目安

次のような場合は、早めに相談先を持った方がいいです。

・悪夢や不眠が2週間以上続く
・1か月近く改善しない
・日中の生活に支障が出ている
・フラッシュバックや強い不安もある
・食欲低下や頭痛も続いている
・寝ること自体が怖くなっている

消防庁が緊急時メンタルサポートチームを整備していること自体、災害支援者のストレス反応は専門的支援につないでよい問題だということです。 oai_citation:8‡消防庁

■⑨ まとめ

災害ボランティア後の悪夢続きは、単なる疲れではなく、睡眠障害を伴う強いストレス反応のサインとして見た方がいいです。
消防庁は、惨事ストレス反応として不眠、悪夢、フラッシュバック、注意力低下などを挙げており、強いストレス反応が2日から4週間続くものをASD、1か月以上続くものをPTSDと整理しています。日本赤十字社も、被災者だけでなく支援者やボランティア側にもこころのケアが必要だとしています。 oai_citation:9‡消防庁

防災士として強く言えるのは、悪夢は「自分が弱い証拠」ではなく、現場で受けたものがまだ整理しきれていないサインだということです。
迷ったら、
「まだ我慢できるか」
ではなく、
眠りが戻っているか、日常が崩れ始めていないか
を基準に見た方が、ずっと現実的です。

出典:消防庁「緊急時メンタルサポートチームについて」

参考:日本赤十字社「こころのケア」

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