南海トラフ地震は、国が“臨時情報”を出すケースがあるが、
実は多くの人が 「臨時情報=必ず出るもの」 と誤解している。
しかし、元消防職員として断言する。
臨時情報は出ないまま巨大地震が発生する可能性も極めて高い。
ここでは、災害現場を知る立場から
「南海トラフ臨時情報の5つの誤解と、本当に準備すべき行動」をまとめる。
■① 誤解①:臨時情報が出てから準備すれば間に合う
現実は真逆。
南海トラフ地震の前兆である「スロースリップ」は、
毎年のように全国で発生している。
つまり——
臨時情報が出ないまま、本震だけが突然来る可能性が常にある。
● スロースリップは“前触れにならないこと”が多い
● 静かに進む地殻変動は観測が難しい
● 地震学者ですら予測は不可能
“臨時情報待ち”は危険そのもの。
■② 誤解②:臨時情報が出たら避難所に行く必要がある
臨時情報は避難指示ではない。
避難所に行く必要はなく、多くの人は 在宅待機が基本。
● 避難所は高齢者・障がい者・妊婦が優先
● 混雑は感染症リスクを高める
● 自宅が安全なら在宅の方が快適で安全
臨時情報=避難
ではなく、
臨時情報=「1週間、家の備えを最大化する期間」
と理解するのが正しい。
■③ 誤解③:臨時情報が出たら地震は必ず起きる
これも誤りで、
臨時情報は「可能性が高まった」というだけ。
● 地震が起きる確率は“数%〜十数%”
● 1週間のうちに起きないことの方が多い
● 起きなかった場合も“無駄”ではない
大切なのは、
臨時情報を“行動のスイッチ”に使うこと。
■④ 誤解④:臨時情報が出たらパニックになる
実際は、正しく理解すればパニックは防げる。
臨時情報が出ても、国や自治体は
● 交通規制はしない
● 店は通常営業
● イベント中止は自己判断
社会はそのまま動く。
必要なのは、
家庭が防災モードに静かに切り替わること。
パニックになるのは“知らないから”。
知識があれば、落ち着いて準備できる。
■⑤ 誤解⑤:臨時情報が出たら「揺れやすい地域」が変わる
これも誤解。
臨時情報が出ようが出まいが、
危険な場所は“常に危険”。
● 海抜10m以下は津波リスク
● 液状化予測図の赤いエリア
● 木造密集地帯の火災リスク
● 崖・斜面・盛土エリアの土砂災害
臨時情報に関係なく、
住んでいる場所のリスクは常に固定されている。
■南海トラフで本当に重要なのは「臨時情報の有無」ではない
元消防職員として伝えたいのはこれ。
臨時情報は“出ても出なくても”対策が必要。
臨時情報が出なくても地震は来る。
臨時情報が出ても来ないこともある。
だからこそ、必要なのは以下の3つ。
■① 家庭の備蓄と在宅避難力
● 水・食料・簡易トイレ・ガス
● モバイルバッテリー・懐中電灯
● 家具固定・ガラス対策
■② 即避難の判断力(特に沿岸部)
● 揺れが長く強ければ即避難
● 車は使わない(渋滞が死因になる)
● 夜間も迷わず逃げる
■③ 家族の共通ルール
● 連絡方法
● 集合場所
● 子どもの単独避難ルート
■まとめ|臨時情報に頼らず、“今日から備える家庭”が助かる
臨時情報は便利だが完璧ではない。
本当に命を守るのは、次の3つ。
● 臨時情報が“出ても出なくても”動ける準備
● 家族の共通ルール
● 在宅避難が可能な生活力
南海トラフは必ず来る。
その日に慌てないために、
今できる準備を一つずつ積み上げてほしい。

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