【元消防職員・防災士が解説】昼間の災害で“家族が全国に散っている”ときの行動ガイド|勤務・通学中にどう守る?

災害は、家族が仕事・学校・外出で“全員バラバラ”の時間帯に発生しやすい。
特に平日昼間は、家族がそれぞれ別の場所にいるため、安否確認や合流が難しい。

ここでは、昼間の災害を想定した“家族のバラバラ発災”に備える行動をまとめる。


■① 基本ルール:まずは「自分の安全」が最優先

災害直後にやってはいけない行動がある。

● 家族に電話する
● 帰宅しようと焦って動く
● 無理に家族へ向かう

これらは二次被害の原因。
昼間の被災では、家族全員が「まず自分を守る」が鉄則。


■② 連絡より“避難判断”が先

災害時、回線は混雑しほぼ繋がらない。
だからこそ、家族が以下を自力で判断できるようにしておく。

● 自分のいる場所の危険度
● 津波警報の有無
● 火災・倒壊・土砂災害の兆候
● 高所・屋外・建物内のどこが安全か

「自分の居場所で安全確保 → その後に連絡」
この順番を家族全員で統一することが重要。


■③ 子ども・高齢者・家族が別行動の時に決めておくルール

昼間の災害で家族がパニックになりやすいのは「合流点が曖昧」な時。

事前に次の3つだけ決めておくと安心感が大きく変わる。

●① 集合場所(地震・豪雨別)

・ 自宅
・ 近くの公園
・ 指定避難所

●② 連絡手段

・ 災害用伝言ダイヤル
・ LINEの安否確認
・ SMS(繋がりやすい)

●③ 各自の優先順位

  1. 自分の安全確保
  2. 状況が整ってから連絡
  3. 指定した場所へ移動

特に子どもは「避難先の名前」を覚えておくことで迷いがなくなる。


■④ 帰宅困難時のルールを“家族全員”で共有する

大地震後は大量の帰宅困難者が発生し、徒歩帰宅はかえって危険。

● 無理に帰らない
● 安全な場所で待機
● 学校・職場に留まるのが安全

これを家族で決めておくと、子どもや配偶者が無理に移動して危険に巻き込まれなくなる。


■⑤ 家族がバラバラにいるときに役立つアイテム

昼間の災害に備え、持ち歩き防災は強い武器になる。

● スマホ充電(モバイルバッテリー)
● 水(小ボトル)
● ホイッスル
● 折り畳みスリッパ
● 常備薬
● 携帯トイレ(1〜2個)

“家族全員がミニ避難セット”を持つだけで生存率は上がる。


■⑥ 会社・学校にいる家族はどう動くべき?

昼間の災害で最も多い行動ミスが「家に向かって歩き始める」こと。

● 会社 → 指示に従い、一斉帰宅は避ける
● 学生 → 学校が最も安全。迎えは不要
● 高齢者 → 近隣住民・デイサービスなどの支援を優先

“その場所で安全を確保する”が基本。
家族が同時に移動すると、逆にすれ違って会えなくなる。


■⑦ 自宅が被害を受けたときのルール

家族がバラバラのまま、自宅が危険な場合は“掲示”が役立つ。

● ドアに「避難済」と張り紙
● 避難先を書き残す
● 合流予定の時間も記す

消防・自治体もこの張り紙で救助対象を判断する。


■⑧ 家族がバラバラ発災を想定した“1枚の防災シート”を作る

家族防災は、これを1枚作るだけでほぼ解決する。

【家族防災シートの内容】
● 昼間の集合場所
● 夜間の集合場所
● 避難所の名称 & 地図
● 連絡方法
● 各自の優先行動(安全確保 → 連絡 → 集合)
● 持ち歩き防災セットのリスト

スマホのロック画面に貼っておくのも効果的。


■まとめ|昼間は“家族が離れた状態で被災する”と理解する

防災で最も大事なのは、災害が
「家族がまとまっている時間に来る方が珍しい」
という事実を理解すること。

その前提で行動ルールを作ると、家族全員が迷わず動ける。

今日、この内容を家族と共有することが“最大の防災対策”になる。

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