【元消防職員・防災士が解説】“借金大国ニッポン”で家庭が取るべき防災戦略③|避難所は「最後の手段」になる時代へ

日本は「災害大国」であるだけでなく、「借金大国」でもある。
その両方が重なるこれからの時代、避難所はこれまで以上に“厳しい環境”になる可能性が高い。

つまり今後は、
「避難所に行く」ではなく「避難所に行かずに済む準備」が中心になる。

今回は、財政悪化と災害激甚化の影響で「避難所が今後どう変わるのか」、そして家庭はどう備えるべきかを解説する。


■① 避難所は“公助の象徴”だが、財政難で機能低下が起きる

避難所は国・自治体が準備する最も基本的な防災インフラ。
しかし、避難所の運営には大きなコストがかかる。

● 備蓄品の更新
● トイレ設備の拡充
● エアコン・発電設備
● 受け入れマニュアルの整備
● 指導員の確保
● バリアフリー対応

財政が厳しくなれば、
これらの設備やサービスの更新が遅れ、
避難所の質は確実に低下する。

実際、どの自治体でも言われているのは…

「避難所の設備は最低限まで縮小せざるを得ない」

という現実だ。


■② 避難所の“キャパ不足”は今後さらに深刻に

人口減少で学校が統廃合され、
避難所として使える施設は年々減っている。

さらに…

● 高齢者の増加
● 介護が必要な住民の増加
● 障がい者対応の必要性
● 医療的ケア児のサポート

など、避難所が担う役割は増え続ける。

しかし人的リソースは減り続ける。

その結果…

「避難所に行っても、受け入れられない人」が増える時代になる。

これは現場を経験した者から見ても、避けられない現実だ。


■③ 避難所の環境は、想像以上に“過酷”

避難所は「居住空間」ではなく、「緊急の一時滞在場所」だ。
財政悪化で環境改善が進みにくいなか、状況はさらに厳しくなる。

● トイレが長蛇の列
● プライバシーほぼなし
● 夜は寒い・暑い
● 子どもや高齢者には負担が大きい
● 感染症リスクも高い
● アレルギー対応が難しい
● ペット不可の場所も多い

特に高齢者・乳幼児・障がい者などは、
避難所生活が命に関わる負担になることもある。


■④ だから必要なのは「在宅避難」ができる家づくり

国の財政がどうであれ、家庭ができることは明確。

それが
“家を避難所にする準備”
である。

在宅避難のために必要なのは以下のスキルと備え。


●① 生活が維持できる備蓄

・水 1日3L × 7日
・カセットガス 20本以上
・レトルト食品・米・パスタ
・非常トイレ(最低30回分)


●② 電気がなくても生きられる準備

・モバイルバッテリー
・ソーラーパネル
・乾電池式ランタン
・カセットコンロ


●③ 住まいの安全を高める工夫

・家具の固定
・ガラス飛散防止
・感電火災対策
・耐震性の確認


●④ 在宅避難の判断スキル

・ハザードマップ確認
・土砂災害の危険なら外へ避難
・浸水リスクが高ければ上階へ


■⑤ 「避難所に依存しない家庭」になることが、最大の公助になる

在宅避難ができる家庭が増えるほど、
本当に避難所が必要な人(高齢者・障がい者・乳児家庭など)への支援が行き届く。

あなたの家庭が自力で耐えられるということは、
地域全体の防災力を底上げする行為でもある。

これは消防・自治体が口を揃えて言う“理想の姿”だ。


■まとめ|「避難所前提」の防災は終わった。これからは家庭が主役。

財政悪化 × 災害激甚化の日本では、
避難所の役割は「最低限を支える場所」へと変わる。

だからこそ、家庭では次の3つを徹底すること。

● 家で生活を続けられる“在宅避難力”
● 水・食料・トイレ・電源の備蓄
● 家の安全性と生活スキル

公助は遅れる。共助は弱くなる。
その中でも、家庭の“自助”は確実にあなたを守る。

これからの時代の防災は、
「避難所に行く人」ではなく「避難所に行かない準備がある人」
が生き延びる。

備える力が、家族の未来を守る。

コメント

タイトルとURLをコピーしました