日本は深刻な少子高齢化と社会保障費の膨張により、
プライマリーバランス（基礎的財政収支）の改善がますます難しい状況 にある。
この流れは、災害大国・日本にとって極めて重大な問題だ。
なぜなら――
国の財政が苦しくなるほど、公助（行政の防災力）は弱くなる。
つまり市民一人ひとりに求められる防災力は、これからもっと高くなる。
今回は、プライマリーバランス悪化が「防災」に与える影響と、
家庭が備えておくべき現実的な対策を解説する。
■① プライマリーバランス悪化は“防災の質”を確実に下げる
国の財政が厳しくなると、真っ先に削られるのは「投資的な支出」。
その筆頭にあるのが、防災・減災の予算だ。
● 老朽インフラの修繕が遅れる
● ダム・堤防の強化が後回し
● 消防・警察の人員確保が難しくなる
● 避難所設備（空調・トイレ）更新が滞る
● 災害備蓄品の入れ替えが遅延
● 防災訓練・普及啓発の縮小
“公助の弱体化”は避けられない。
特に避難所の環境悪化は、災害対応の現場で確実に影響が出る。
■② 災害発生時、公助の遅れは“直接の被害”につながる
元消防職員として現場を経験してきた立場で言えば、
公助が弱くなると次のような深刻な問題が起こる。
● 初動対応の遅れ
● 物資供給が不足
● 避難所開設が遅い
● 情報発信が追いつかない
● 職員の疲弊で判断が遅れる
つまり、プライマリーバランスの悪化は
＝災害時の命のリスク増加 を意味する。
■③ 防災は“自助の時代”へ。家庭での備えが必須に
国の防災力が弱まるほど、
必要になるのは「家庭の自助力」。
最も重要なのは次の3つ。
●① 在宅避難スキル
避難所依存から脱却し、家で1週間耐える力を持つ。
・水7日分
・非常用トイレ50回分
・ガス20本
・カセットコンロ
・ポータブル電源＋ソーラーパネル
・食料備蓄（米・パスタ・缶詰など）
●② 正しい“逃げ方”を理解する
公助は遅れる。だから判断力が命を救う。
・キキクル（危険度分布）の読み方
・浸水想定の確認
・夜間避難は早め早め
・氾濫危険水位の意味
・地震直後の火災対応
●③ 家族で災害マニュアルを共有
自治体より早く動ける家族が強い。
・集合場所
・持ち出し袋の位置
・災害伝言ダイヤルの使い方
・子ども・高齢者の役割
・停電時の行動手順
■④ 共助の価値が“爆発的に高まる”理由
財政悪化で公助が弱まると、
最も頼りになるのが「地域の人」。
● 高齢者の安否確認
● 子どもの保護
● 近所同士の物資融通
● 家屋被害の点検
● 情報共有
地域のつながりがあるだけで、
公助不足の“穴”を大きく補うことができる。
■⑤ プライマリーバランス悪化の時代、家庭が取るべき10の行動
今日から始められる対策だけをまとめた。
① 1週間の在宅避難セットを家に固定
② 非常用トイレを最優先で購入
③ カセットガス20本＋コンロ
④ モバイルバッテリー2台
⑤ ソーラーパネル100W以上
⑥ 家族の防災マニュアルを紙で作る
⑦ ハザードマップを印刷
⑧ キキクルを毎週見る習慣
⑨ 近所との挨拶・連携
⑩ 防災アプリを家族全員に導入
これだけで“国に頼らない防災力”が一気に高まる。
■まとめ｜国の財政は悪化する。それでも家族を守れるかは“準備次第”
プライマリーバランス悪化は、
確実に日本の防災力に影響を与える。
しかし――
● 自助
● 共助
● 行動力
● 判断力
これらを高めれば、
“公助が弱くなる時代”でも生き延びることは十分に可能だ。
今こそ、防災は「国に任せるもの」ではなく、
“自分で育てる家庭のスキル” になっている。
あなたの準備が、家族の未来の生存率を決める。
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