災害時、最も困りやすいのが“女性特有の困りごと”。
しかし、実際の避難所運営や行政の備えは、まだ十分とは言えない。

だからこそ、女性自身が知識を持ち、
「自分で選べる・守れる防災」を備えておくことが大切だ。

ここでは、女性特有の課題に寄り添った防災ポイントをまとめる。

■① 生理・衛生問題：最も深刻で、最も対策されにくい部分

災害時、避難所で最初に不足するのは“生理用品”。
プライバシーも確保しづらく、交換場所に困る人も多い。

女性が準備しておくべきものは次の通り。

● 生理用品（ナプキンは最低2周期分）
● 使い捨てショーツ
● おりものシート
● 清拭用ウェットティッシュ
● 小さめのゴミ袋
● 月経カップや吸水ショーツ（代替策として有効）

“自分が使い慣れたもの”を備えることが何より重要。

■② プライバシー確保：避難所は女性に過酷な環境

避難所生活で女性が抱えるストレスは大きい。

● 着替え場所の不足
● 授乳・搾乳の困難
● トイレや洗面所の長蛇の列
● 夜間の安全性の不安

そのため、次の備えが役立つ。

● ポンチョ（着替え用）
● 小型ライト（夜間移動の安全確保）
● カーテン付き簡易テント
● カギ付き貴重品ポーチ

“自分だけの小さな空間”を持てると、ストレスは大きく軽減される。

実は、災害時の避難所では
● 視線
● 盗難
● 性被害
などのトラブルも発生している。

自分を守るためのポイントは次の3つ。

● 知らない人からの過剰な接触を避ける
● 安心できるグループや家族と行動する
● 荷物は身体のそばに置く
● 夜間は明るい場所で過ごす

女性は「守られる側」ではなく、
“自分で対策を選べる側”であるべき。

災害時、
重い荷物・長距離歩行・階段避難
など、体力を要する場面が多い。

そのため、女性は次を意識しておくと良い。

● 非常持ち出し袋は“軽量装備”を最優先
● 靴はスニーカー一択（サンダル厳禁）
● 持てない荷物は家族で役割分担
● 避難場所まで“実際に歩いて確認”しておく

「体力がない＝逃げられない」ではない。
逃げられる設計に変えていくことが大切。

母親は自分だけでなく、子どもの命も守らなければならない。
避難所では授乳・オムツ交換・泣き声など、さらなる負担もある。

備えておきたいものは以下。

● ミルク・哺乳瓶・授乳ケープ
● オムツ・おしりふき
● 抱っこひも
● 子ども用の食べ物
● 迷子防止タグ

“ママと子どもの防災セット”は必ず分けておくと管理しやすい。

女性はライフステージで必要なものが変わる。

● 妊娠中：母子手帳・飲み薬・エネルギー補給食
● 更年期：冷却シート・常備薬
● 持病あり：薬手帳と薬の7日分

避難所は薬がすぐには手に入らない。
“自分の体に必要なもの”は必ず持ち出せるよう準備しておく。

女性の防災は、
● 生理
● プライバシー
● 防犯
● 子育て
● 体力
など、男性とはまったく違う課題がある。

しかし、事前に知識があれば対策できる。

災害時に必要なのは、
“女性が不便を我慢する避難”ではなく
“女性が自分の身を守る選択肢を持つ避難”。

今日の準備が、明日の命を守る力になる。