災害時、女性は男性よりも“生活面の不安”を抱えやすい。
避難所で起きるトラブル、プライバシーの欠如、夜間の不安、性暴力リスク…。
これは現場で長年見てきた「実際に起きた問題」だ。
この記事では、女性の不安を少しでも軽くし、
安全に避難生活を乗り切るための現実的な対策をまとめる。
■① 夜間の不安:避難所は“暗くても完全に安全ではない”
避難所では夜間も人の動きが多く、完全に安心できる空間とは言い難い。
❏ よくある不安
● 見知らぬ人が近くに寝ている
● 布団や仕切りがなく周囲が近い
● 夜中のトイレが怖い
● 少し離れた暗いスペースが不安
❏ 実践的な対策
● 小型ライトを必ず常備
● 女性専用スペースを選ぶ
● 信頼できる人と近くに場所を確保
● 貴重品は枕元で身に付けて寝る
“光”と“距離”が女性の夜の不安を大きく減らす。
■② 性被害リスク:避難場所では“ゼロではない”
消防職員として避難所を見てきたが、性被害・不審行為の相談は少なくない。
“非常時は安全”という考えは危険。
❏ 実際に多い場面
● 夜間のトイレ
● 仕切りのない雑魚寝スペース
● 着替えのタイミング
● シャワー・洗面所(設置がある場合)
❏ できる対策
● ポンチョ・ストールで着替えをカバー
● 夜のトイレは複数人で
● 女性専用スペース・女性専用トイレを積極的に使う
● 不審者を見たらすぐにスタッフへ
“自分を守る行動”は恥ずかしいことではない。
■③ 生理・体調の不安:避難生活では“いつも通りが難しい”
生理用品は避難所でも不足しがちで、体調管理が難しい。
❏ よくある不安
● 生理用品が不足
● 捨て場所がない
● ナプキンの交換がしにくい
● 生理痛がつらい
● 冷えで体調が悪化
❏ すぐできる対策
● ポーチにナプキン6〜10枚
● 痛み止め
● 生理用品の個別袋(100均でOK)
● 下腹を温めるカイロ
● 夜用ナプキンを2〜3枚
“自分の体を守る準備”は最優先。
■④ トイレ問題の不安:衛生状態が悪いと女性は大きなストレスに
避難所のトイレはすぐに混雑し、不衛生になりやすい。
❏ 不安になりやすい理由
● 和式トイレが多い
● 水が流れないこともある
● 暗くて怖い
● 入るまでに長い行列
❏ 役立つ対策
● 携帯トイレを2〜3個
● マイ照明(ライト)
● 除菌ウェットティッシュ
● トイレの位置・明るさ・混雑を初日に確認
トイレの不安は避難生活のストレスの“核心”。
■⑤ プライバシーの不安:仕切りがなく、視線を感じやすい
避難所はどうしてもプライバシーが確保されにくい。
❏ よくある不安
● 着替えが見られそう
● 子どもの授乳がしにくい
● 周囲の目が気になる
● 荷物を置いたまま離れにくい
❏ できる対策
● 簡易ポンチョ(着替え・授乳どちらも可)
● 大判タオル・ストール
● 小型の折りたたみ式目隠し
● 荷物は必ず一つにまとめて管理
“視線を遮れる物”があると安心が劇的に変わる。
■⑥ 子どもを連れている女性の不安が特に大きい
母親は避難所で“常に気を張る状態”になりやすい。
❏ よくある不安
● 子どもが騒いで周りに迷惑をかけないか
● 夜泣きが心配
● 子ども用トイレがない
● 授乳スペースがない
❏ 対策
● 子どもには静かにできるおもちゃ
● 授乳ケープ
● オムツ+個別袋
● 子ども用スリッパや上着
“子どもの安心”は“母親の安心”。
■まとめ|女性の不安は“準備と環境づくり”で確実に軽くなる
女性の避難生活の不安は、
「準備不足」と「環境の不備」から生まれる。
そのほとんどは次の6つで改善できる。
● 小型ライト
● ポンチョ・ストール
● ナプキン・痛み止め
● 携帯トイレ
● 防寒グッズ
● 女性同士の助け合い
避難生活で最も大切なのは“自分の身を守ること”。
女性の防災は、「恥ずかしさ」より「安全」が優先される。
今日から、ひとつずつ備えていこう。

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