キャッシュレスが広がり、現金をほとんど持たない人も増えてきた。
しかし災害時は「キャッシュレスの強み」と「致命的な弱点」が同時に表面化する。
元消防職員・防災士として、被災地で何度も経験した“お金が使えない現実”をもとに、
災害に強いキャッシュレス戦略をまとめる。
■キャッシュレスは“平時最強・災害時は不安定”という前提を持つ
QRコード・タッチ決済・デビット・クレカ…。
普段は便利だが、災害では次の理由で一気に不安定になる。
● 停電でレジが停止
● 通信障害で決済できない
● ATMも休止
● コンビニが“現金のみ”に切り替える
特に地震・大規模停電では、通信が止まり「QRコード決済＝ほぼ使えない」が現実。
■現金は“防災アイテム”のひとつ｜キャッシュレスだけでは生き延びられない
被災地で最も必要だったのは、結局「現金」だった。
● 水・食料を買える店が“現金のみ”
● 充電サービスを現金で提供
● ガソリンスタンドが現金払いのみ
● タクシーが現金対応に変更
キャッシュレスは便利だが、“現金ゼロ”は命取りになる。
■防災で最適なのは「キャッシュレス＋現金」の二刀流
災害に強い家は、必ずこのバランスを取っている。
● キャッシュレス
→ 普段の支払い・ポイント還元・管理のしやすさで最強
→ 災害でも通信が復旧すれば使える
● 現金（小銭・小額札）
→ 災害直後の支払い手段として安定
→ 停電時・通信障害時でも確実に使える
両方を持つことが“防災リスク分散”。
■避難用財布に入れるべき“最適な現金額”
元消防職員として最も実用的だと感じたのは次の構成。
● 1,000円札 × 10
● 500円玉 × 数枚
● 100円玉 × 数枚
● 合計：5,000〜10,000円
【理由】
・レジの釣り銭不足で高額札が使えない
・飲料や食料は千円札＋小銭で買える
・タクシー・バスで小銭が必要な場合あり
大金は不要。“崩せるお金”が最強。
■キャッシュレスでも災害に強い支払い手段がある
キャッシュレスには弱点もあるが、災害対応の強さはそれぞれ違う。
【強い】ICカード（交通系）
● 端末がスタンドアロンで作動する場合あり
● 電池使用でレジが動けば使えることも
● 首都圏ではSuicaが災害に比較的強い
【やや強い】デビットカード
● オンラインが動けば即時決済
● ATM復旧後は現金化も可能
【弱い】QRコード決済
● 通信障害でほぼ停止
● 大規模災害では使用不可の店が多い
普段はQR決済が便利だが、防災力はICカード＞デビット＞QR。
■スマホの電池切れ＝キャッシュレス全滅という現実
キャッシュレスの最大の弱点はこれ。
● 停電で充電できない
● モバイルバッテリーが不足
● 長時間並ぶ充電サービス
● バッテリー節約モードでも限界
スマホが死ぬ＝支払い手段がすべて消える。
だから、防災セットに必須なのは
● 10,000mAh以上のモバイルバッテリー
● 巻き取り式ケーブル
● ソーラーチャージャー（あれば強い）
● モバイルバッテリーは2台以上
“支払いを守る＝電源を守る”が防災の新常識。
■子ども・高齢者は特に“現金”が重要
● 子どもはスマホ電池を使い切りがち
● 高齢者はQRコードが使えない場合も多い
● 災害弱者ほど現金の必要性が高い
家族で分散して持つと強い。
■まとめ｜キャッシュレス時代の防災は“両方持ち”が最強
災害では、キャッシュレスが止まることは普通にある。
その一方で、通信が復旧すればキャッシュレスは圧倒的に便利。
だからこそ、
● 普段：キャッシュレス中心
● 災害：現金＋ICカード
この組み合わせが最強の防災戦略。
“支払いを守る”ことは、“生活を守る”こと。
今日から財布とスマホの中身を、防災仕様に整えておこう。
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