【元消防職員・防災士が解説】防災×造船④|“海が止まらなければ都市は生き残る”日本の未来を支える海上インフラの力

日本は地震・津波・豪雨の多発国であり、陸上インフラが止まるリスクを常に抱えている。
しかし、海だけは最後まで残る。
だからこそ、造船 × 防災 は日本の都市機能を守る「切り札」になる。

ここでは、海上インフラが災害時に果たす役割を深く解説する。


■■① 発電船:大規模停電の“最終エネルギー源”

発電船(パワーシップ)は、停電時の救世主。

● 1隻で数万世帯〜数十万世帯をカバー
● 港に接続するだけで電力供給が可能
● 震災で発電所が止まっても電気を届けられる
● 長期停電の地域にも設置可能

固定発電所が壊れても、海から“非常電力”を送り込めるのは圧倒的な強みだ。


■■② 給水船:断水した都市に大量の水を運べる

都市災害で最も困るのが「水」。
給水車では追いつかない規模でも、給水船なら一度に大量に届けられる。

● 飲料水タンクを搭載
● 海水淡水化装置で飲める水を大量生成
● 津波や地震で水道管が破損しても供給可能

海がある限り、水は止まらない。


■■③ 通信船:海上からネット回線を届ける

大災害では通信がもっとも脆弱。
その中で注目されているのが「通信船」。

● 衛星ネット+海上基地局で通信を復旧
● 陸上基地局が倒壊しても代替可能
● ドローン・ロボットのオペレーション拠点として活用
● 災害対策本部の臨時通信拠点に

“通信が死ぬ=情報が死ぬ”。
海上から通信を支える仕組みは、これから必須になる。


■■④ 海上避難施設:津波から最速で逃げられる未来の避難形態

津波時に最も重要なのは「高い場所に逃げること」。
しかし、沿岸部は高台が少ない。

そこで登場するのが 海上避難施設(浮体式シェルター)

● 港に常設できる
● 浮上して津波を回避
● 数十人規模の避難が可能
● 保温・食料・トイレ完備のモデルも登場

“海に逃げる避難”は、今後確実に普及していく。


■■⑤ 海上物流の維持:物資が届けば都市は崩壊しない

災害で都市が崩れる原因は、建物ではなく「物流が止まること」。

● 港が復旧すれば全国から物資が届く
● 船は道路の寸断・橋の崩落の影響を受けない
● 離島・沿岸部でも最速で支援物資を運べる
● 発電船・給水船・通信船もまとめて到着できる

“海上物流が生きている=都市が生きている”。

海は国全体の最後のライフラインになる。


■■まとめ|造船は「防災の未来」をつくる国家インフラ

造船 × 防災の掛け算は、次の価値を生む。

● 電気・水・通信を海から供給できる
● 津波避難施設として機能する
● 港を中心に都市が復旧する
● 陸上インフラが壊れても国が止まらない

災害が激甚化する今、海を使った防災は「国の生命線」。

日本が復興力を高めるには、
海を使う発想 → 船を使う技術 → 造船の進化
この3つが欠かせない。

海が強ければ、国が強くなる。
造船は、日本の未来の防災インフラそのものだ。

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