災害時に最も深刻な問題のひとつが情報遮断。
停電・基地局停止・ネットワーク混雑によって通信が途絶えると、
避難情報も救助要請も届かず、被害が拡大する。
そこで注目されているのが、量子通信(量子暗号通信)。
量子技術を用いた通信は、災害時の“最後の生命線”になる可能性がある。
■① 量子通信は“絶対に盗聴できない”通信
量子通信の最も大きな特徴は、
盗聴・改ざんが不可能
ということ。
量子の性質上、データに触れた瞬間に状態が変化し、
盗み見たことが“即バレ”する。
防災分野では次のように活用され始めている。
● 行政間の災害情報を安全に共有
● サイバー攻撃に強い防災ネットワーク
● 避難情報・警報を安全に送信
● 重要インフラの監視データを保護
災害時は、デマ・偽情報が混乱を招く。
安全な通信は“正確な判断力”を守る基盤になる。
■② 災害時の“通信途絶”を補うバックアップにも使える
災害が大規模になるほど、通信障害は避けられない。
● 地震で基地局が倒壊
● 大雨で光ファイバー断線
● 停電で通信装置が停止
● 通信制限でスマホがつながらない
量子通信は、地上の回線とは別ルートで通信を確保できる。
● 量子衛星を使った通信
● 量子中継器による広域ネットワーク
● 災害時バックアップ回線として活用
“地上がダメでも空から通信を維持”できる仕組みは、
今後多くの自治体で導入が進むと予想されている。
■③ 災害指揮本部の通信の安全性が飛躍的に向上
災害時に最も重要なのが、自治体・消防・警察・自衛隊の連携。
その通信が攻撃されたら、救助全体が止まってしまう。
量子通信は、次のような防災の強化につながる。
● 被害状況のデータを安全に共有
● 捜索・救助の位置情報を暗号化
● 重要会議を量子暗号で保護
● 避難所の混雑情報を安全に送信
“救助の根幹となる通信の安全性”が量子で守られる。
■④ デマ拡散防止にも大きく貢献する
災害時の最大の敵は、デマ情報。
● 「〇〇川が決壊した」
● 「避難所が満員」
● 「コンビニの在庫がゼロ」
● 「大津波が来る」
こうした偽情報がSNSで一気に広がり、避難判断を遅らせる。
量子通信を使うことで、
“本物の情報を受け取るルートが守られる”
これにより、行政情報への信頼が高まる。
■⑤ 一般家庭にも“量子防災”が降りてくる未来
量子通信はまだ行政・研究機関が中心だが、
今後は民間にも広がっていく。
● 量子暗号ルーター
● 量子鍵配信を使ったスマホ通信
● 災害アプリが量子経由で配信
価格が下がり普及が進めば、
“一般家庭の通信セキュリティ”も量子的に守られる時代になる。
■まとめ|量子通信は災害時の“絶対に切れない通信”になる
量子通信は、防災において次の役割を果たす。
● 盗聴・改ざんされない安全な通信
● 通信障害に強いバックアップ回線
● デマに流されない正確な情報源
● 行政の指揮命令を安全に届ける
● 住民の通信インフラを守る
災害の激甚化が進む日本において、
量子通信は“命を守る情報インフラ”として欠かせない存在になる。
次回は「防災×量子④|量子コンピュータが災害シミュレーションを変える」を解説します。

コメント