非常食はここ数年で劇的に進化し、
「空腹をしのぐもの」から「健康を守る食」へと変わった。

フードテックの力により、
災害時でも“普段と変わらない栄養”を確保できるようになっている。

ここでは、最新の“次世代非常食”がどのように防災を支えているのかを解説する。

■① 高タンパク非常食：筋力低下を防ぐ“災害時の必須栄養”

避難生活が長引くと、運動量は激減し、筋力低下が早まる。
実はこれが、災害時の健康リスクの大きな原因になる。

そこで注目されているのが「高タンパク非常食」。

● プロテインバー
● 高タンパクレトルト食品
● 大豆ミート缶・高タンパクパスタ
● 高齢者向けのタンパク補助食

筋力を維持することは、体力・免疫力の維持につながり、
災害時ほど“タンパク質の重要性”が増す。

■② バイオ栄養食品：少量で高栄養を摂れる“効率食”

バイオ技術を使った栄養食品は、
「少ない量でしっかり栄養が取れる」ことが最大の強み。

● 微細藻類（ユーグレナ等）を使った栄養食
● 植物性完全栄養食品
● 1袋で1食分の栄養が取れるミール

災害時は食べられる量が少なくなりがちだが、
バイオ栄養食品なら“量を食べなくても栄養を補える”。

子ども・高齢者・体力が落ちた人にも適した防災食だ。

フードテックの進化で、
“嚥下が難しい人向け非常食”が一気に充実した。

● やわらかレトルト
● とろみ付き栄養食
● 嚥下レベルに合わせて選べる食品
● 高齢者施設向けの備蓄食品

要介護者の食事は「誤嚥性肺炎」を防ぐために極めて重要。
災害時ほど、嚥下食の備蓄が家族を救う。

避難生活で多くの人を悩ませるのが便秘。
これは、ストレス・水不足・運動不足が重なることで起きやすい。

その対策として、整腸系の非常食が増えている。

● 食物繊維が多い保存食
● 乳酸菌入りの栄養バー
● 腸内環境を整えるレトルト食品
● 水が少なくても食べられる整腸ゼリー

腸の不調は免疫低下にもつながるため、
日頃から整腸系の非常食を備えるメリットは非常に大きい。

災害初動は「火が使えない」「水がない」状態が多い。
そのなかで大きく進化しているのが“完全調理済み食品”。

● 温め不要で食べられるカレー
● 水なしパン
● 具材そのまま栄養ゼリー
● そのまま使える蒸し野菜パック

“開けるだけで食べられる”という安心感はとても大きい。
特に子どもや高齢者がいる家庭では必須の備蓄だ。

フードテックは食品だけではなく、“栄養管理”も変えた。

● 家族の年齢に応じた不足栄養素を自動判定
● 備蓄食品の栄養バランスを可視化
● 足りない栄養を教えてくれる機能
● 災害時シミュレーションで必要量を算出

これにより「備蓄しているつもり」ではなく、
“正しく備蓄できている防災”を実現できる。

次世代非常食は、以下を満たす時代に入った。

● 栄養が取れる
● 誰でも食べられる
● 火や水がなくても大丈夫
● 賞味期限管理も簡単

防災の基本は「生き延びること」。
そのために必要な“食のレベル”は、フードテックによって大きく底上げされた。

これからの防災では、
「何を備えるか」だけでなく「どんな技術を選ぶか」が生存率を左右する。