近年、日本の災害は激甚化し、停電・断水・燃料不足といった“エネルギーの脆弱性”が生活を直撃している。
同時に、世界ではGX（グリーントランスフォーメーション）が急加速し、再生可能エネルギー・蓄電池・水素・アンモニアなどの新技術が生活インフラに組み込まれ始めている。

防災の観点から見ると、GXは災害対応力そのものを強化する切り札でもある。
ここでは「資源・GX」が防災にどんな価値をもたらすのか解説する。

■① 再エネ＋蓄電池は“停電に強い家”をつくる最強の組み合わせ

大規模停電が発生しても、
太陽光＋蓄電池の家は“生活を止めない”。

● 昼は太陽光で発電
● 夜は蓄電池で家電を稼働
● 冷蔵庫・照明・通信を確保できる
● 避難所に行かず“在宅避難”が可能

特に蓄電池の性能向上が著しく、
マンションや集合住宅でも設置が進む。

GXによって“電気の自立性”が大きく向上し、
被災後の生活が圧倒的に安定する。

■② 水素エネルギーは“長期停電に強い”次世代の防災インフラ

水素は、燃料切れの心配が少ないクリーンエネルギー。
防災用途でのメリットも大きい。

● 燃料電池（FC）で長時間発電できる
● ガソリンのように劣化や腐敗がほぼない
● 非常用電源として安定運用が可能
● 将来的には「水素ステーションが避難所電源」になる可能性

水素は“非常時のバックアップ電源”としての実力を持ち、
長期的には災害インフラの中心になると見られている。

GXと防災の最も身近な交差点がEVだ。

● 家庭への給電（V2H）
● 避難所への電力供給
● 冷暖房・スマホ充電・照明の確保
● 車内避難の快適性向上

災害時に「家を丸ごと数日動かせる」EVは、
既に多くの被災地で実績がある。

GXの進展は、
“車が発電所”という新しい防災スタイルを生み出している。

災害時の最大の弱点は「発電所が止まること」。
近年注目されているのが、アンモニア混焼による火力発電だ。

● CO2排出を削減しつつ安定した発電が可能
● 国内生産と輸入でリスク分散ができる
● 災害時にも基幹電源として稼働しやすい

再エネ＋アンモニア火力の組み合わせは、
“クリーンで止まりにくい電力網”を実現する鍵になる。

防災に強い住宅＝エネルギーに依存しすぎない家。
ZEH（ゼッチ）はその典型だ。

● 断熱性能が高く停電しても室温が安定
● エアコンがなくても熱中症リスクを下げられる
● 太陽光と蓄電池の相性が良い
● 災害後の生活負担が少ない

GXは「エネルギーを作る」だけでなく、
「エネルギーをムダにしない」という方向でも防災力を上げている。

自治体レベルでもGXは重要になる。

● 避難所の太陽光・蓄電池の導入
● 水素ステーションの防災拠点化
● 自治体EVの発電車としての活用
● 停電に強い公共施設の整備

“災害に強いGXシティ”は、
住民の命と生活の復旧スピードを大きく左右する。

防災とGXは別物と思われがちだが、
実際には深く結びついている。

● 太陽光＋蓄電池で停電に強くなる
● EVは走る発電所になる
● 水素は長期停電の強力なバックアップ
● アンモニア火力は電力の安定を支える
● ZEH住宅は在宅避難を強化する

GXは、環境対策であると同時に、
“災害から命と生活を守るためのエネルギー改革”。

これからの日本の安全を支える重要なテーマになる。