【元消防職員・防災士が解説】防災×エネルギー安全保障③|日本の“弱点”と家庭が今すぐできる具体策

災害が激甚化し、国際リスクも高まる今、
「電気が止まる前提」で備えることが防災の常識になりつつある。

日本は電力インフラが優秀だが、
一度大規模災害が起きれば“長期停電のリスク”を確実に抱えている。

ここでは、日本のエネルギー安全保障の弱点と、
私たちが家庭で今すぐできる実践的な対策をまとめる。


■① 日本の電力は“ギリギリで回っている”という事実

日本の電力は安定しているように見えるが、
実は以下の3つの理由で非常に脆い。

● 化石燃料の9割以上を海外に依存
● 火力発電が止まると全国の供給力が不足
● 電力会社ごとの地域分断が大きい(融通が難しい)

特に“燃料”は日本最大の弱点。
地震や戦争、物流混乱が起きれば、
発電以前に「燃料が届かない」という事態が起こる。


■② 南海トラフが来たら“広域ブラックアウト”は現実的

南海トラフ地震は、
太平洋側の巨大発電所・変電所・石油基地を直撃する可能性がある。

● 発電所の損傷
● 石油・ガス供給停止
● 変電設備の水没
● 送電線の倒壊
● 都市部の供給力不足

これらが同時に起きれば、
“広範囲で数週間以上の停電”が十分にあり得る。

電力依存が高い現代社会では、
広域停電=生活の停止に直結する。


■③ 停電は“水・食料・医療・通信”すべてに影響する

停電はただ暗くなるだけではない。

● 浄水場が止まり、水道が出ない
● 下水施設が停止し、トイレが使えなくなる
● 食料の物流が止まる
● 医療機関が非常用電源のみで運営
● ガソリンスタンドが動かない
● キャッシュレス・ATMが停止

私たちが当たり前に使っているインフラの多くは、
すべて“電気で動いている”。

停電の想像を超える影響を理解しておく必要がある。


■④ エネルギー安全保障の要は“分散化”と“脱依存”

日本の電力は「集中型」。
これが災害に弱い最大の理由だ。

● 巨大発電所に依存
● 送電線が長い
● 地域間の電力融通がしにくい

一方、災害に強い国は“分散型”へシフトしている。

● 家庭用ソーラー
● 蓄電池
● 地域マイクログリッド
● 電気自動車(V2H)
● 小規模再エネ

分散化とは、
“1つが止まっても他が動く仕組み”のこと。

災害に強い社会をつくる鍵になる。


■⑤ 家庭の防災エネルギーは「3つ揃えれば生存率が跳ね上がる」

家庭で備えるべきものは明確だ。


●① ポータブル電源

・スマホ
・通信機器
・小型家電の維持
・医療機器の補助

停電時の“命綱”になる。


●② ソーラーパネル

・電源が枯渇しない
・スマホを永続的に確保
・ポータブル電源を再充電

長期停電に最も強い装備。


●③ カセットガス/カセットコンロ

・調理が確実にできる
・お湯が作れる
・寒い時期は暖房の代用にもなる(※一酸化炭素注意)

ガスは最も信頼できるエネルギー源。

特に「ガス20本以上」は全国の被災地の共通見解。
これだけで生存率が大きく変わる。


■⑥ 企業・自治体も“エネルギーの分散化”が急務

企業の非常電源が止まると、
地域の生活は一気に崩壊する。

● スーパーの冷蔵庫停止
● 物流倉庫の機能停止
● 病院の受け入れ制限
● ガソリンスタンド停止
● 避難所の電源不足

逆に、
企業が独立電源を持つ=地域の防災力が跳ね上がる。

再エネ+蓄電池+非常用発電機の組み合わせは
今後のスタンダードになる。


■⑦ まとめ|電力を守ること=命を守ること

エネルギー安全保障と防災は同じテーマだ。

● 電気は必ず止まる
● 止まれば水・食料・医療が止まる
● 日本は燃料依存で脆弱
● 分散型エネルギーが唯一の答え
● 家庭の備えはポータブル電源・太陽光・ガス
● 企業の電源確保は地域を守る

エネルギーの備えは“災害対策ではなく生存戦略”。

あなたの家庭が電源を確保できれば、
災害後の生活は圧倒的に安定する。

次の災害は必ず来る。
“電気の備え”だけは後回しにしてはいけない。

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