日本の防災力を底上げするためには、
家庭や個人の対策と同じくらい インフラの強靭化 が重要になる。
道路・橋梁・電力・通信・上下水道。
これらが災害で止まった瞬間、
避難、救急、物資、医療、物流…すべてが機能しなくなる。
ここでは「インフラ強靭化」がなぜ重要なのかを、防災士の視点で解説する。
■① インフラは“命のライフライン”そのもの
災害時に必要なものは、
水・食料・電気・ガスだけではない。
● 移動するための道路
● 救急のための橋
● 情報を得るための通信
● 生活を続けるための上下水道
これらが一つでも止まると、
“命に直結する障害”になる。
特に都市部では、インフラが止まると多くの命が危険にさらされる。
■② 老朽化インフラは災害の“隠れた脅威”
日本のインフラの多くは高度経済成長期につくられ、
50年以上経過しているものが急増している。
● 橋の老朽化
● トンネルの劣化
● 古い上下水道の破損
● 耐震基準が古い建物
これらは普段は問題なくても、
災害の一撃で“連鎖的に壊れる”危険がある。
阪神淡路大震災でも、高速道路の倒壊が都市機能を止めた。
インフラ強靭化は「次の大震災の被害を減らす最短ルート」。
■③ “壊れにくい”から“壊れても機能する”へ
これからの強靭化は
「壊れないようにする」だけでなく、
壊れても止まらない仕組み が求められる。
● 代替ルートを複数確保
● 送電網の多重化
● 通信の冗長化(衛星・地上の二重構造)
● 分散型エネルギー(太陽光+蓄電池)
● 浸水しない高架型インフラ
1か所が壊れても、別のルートで動けるようにすることが最大の強み。
■④ 都市と地方で求められる強靭化は違う
■都市部:人口集中による「一撃のリスク」が最大
● 交通集中
● 高層ビルの密集
● 地下空間の浸水
● 大規模停電の影響が甚大
都市のインフラが止まると、
“国家単位の混乱”につながる。
■地方:インフラが少なく“一つ壊れたら孤立”
● 代替ルートの少なさ
● 老朽化した橋やトンネル
● 医療体制の弱さ
● 長期停電のリスク
地方は「細い命綱」に頼っているため、1本切れると致命傷になる。
■⑤ インフラ強靭化は“住民の行動”でも支えられる
インフラは国や自治体の仕事…だけではない。
住民の行動次第で被害は大きく変わる。
● 停電に強い暮らし(蓄電池・ソーラー)
● 断水に備えた水の備蓄
● 車のガソリンは常に半分以上
● 渋滞を防ぐための早期避難
● SNSでの正確な情報共有
“生活インフラの自衛力”を高めることも国土強靭化の一部。
■⑥ まとめ|インフラが強い国は、命と経済が強い国
インフラ強靭化は、
「大規模工事の話」ではなく
あなたの命を守る根本の話。
● 壊れにくい
● 止まりにくい
● 早く復旧できる
この3つが揃った国は、
災害に強く、経済も強い。
強靭なインフラは、
家族、地域、企業、そして日本全体の生命線。
次回は、国土強靭化の中でも特に重要な
“エネルギー分野の強靭化”を深掘りする。

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